特定領域研究「核融合トリチウム」では核融合炉燃焼維持のため、燃料であるガス状放射性同位体トリチウムの安全かつ確実な取扱・閉込・回収技術確立を達成するため構成されている。特に本研究課題のB班は、ブランケット内で発生するごく微量トリチウムを実効トリチウム増殖率1.05で増殖回収し、発生トリチウムの99.9%以上の回収率、トリチウム透過を通常の1/1000まで減衰させる防止膜の開発を達成することを目標に、ブランケット研究をこなっている。この目標達成のため、ブランケットートリチウム研究を二つの班に分け、B1班でシステム工学的な観点から、トリチウム移行挙動をマクロな物質収支とミクロな吸着、反応、同位体交換の速度式で解析し、原子炉照射で発生するトリチウム移行挙動の実験結果と比較検討した。具体的成果として、固体ブランケット可視化モジュールを製作し、内部状況のミクロ観察に成功し、新規電気化学的方法によるトリチウム高回収に成功した。またF82H構造材やPd-Ag膜のトリチウム透過漏洩率の評価、液体ブランケット(LiやLi_<17>Pb_<83>)流動状態でのトリチウム回収の実証とトリチウム透過漏洩の実験的検証を果たした。B2班では、固体ブランケット燃焼安定化のため酸素不定比性Li_2TiO_3材料の試作実証に成功し、Er_2O_3の液体ブランケット材との共存性がよい高機能トリチウム透過抑制膜の製作と抑制効果実証に成功した。さらにLiやFlibeの構造材料腐食の評価とトリチウム吸着脱離の効果を調べる事に成功し、ミクロ相互作用の解明に成功した。成果は、原子力学会や核融合の国際学会で発表された。 2009年度内において、A班プラズマ炉心トリチウム挙動研究グループとC班炉外トリチウム挙動研究グループと合同研究会を2009年度5月透過抑制、8月中間評価、3月若手交流会と的を絞った研究会を共催し、研究のさらなる進展を計った。
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