計画研究
D-T核融合炉を定常運転維持するためトリチウム製造、回収、分離、注入サイクルを構築する必要がある。核融合炉ブランケット内でこのトリチウムサイクルを速やかにかつ安全におこなうため、ブランケット-トリチウム研究の専門家が集まり計画研究を実施した.今年度は計画の最終年度であり、ブランケットシステム流動と物質移動の立場から検討するBO1班は、次の有意義な成果を得た.(1)ブランケット内部の直接可視化に成功し、熱流動と微細流動解析をつなげて考える事が出来た。(2)プロトン導伝性セラミック体を使った新規トリチウム回収システム構築に成功した.(3)固体材料からのトリチウム放出挙動の定量的把握とリチウム蒸発定量化に成功した.さらに液体ブランケット材では、(4)Liに溶けたごく微量水素同位体回収に成功し、Liのブランケット使用に筋道をたてる事が出来た.(5)LiPb共融合金のH-D溶解と拡散の同位体効果を明らかにし、トリチウム物性量の推定に成功した.さらにブランケット材料研究の立場からB2班では、(6)Er酸化膜のトリチウム透過阻止率を1/10^4以下にするのに成功し、研究目標を達成できた.(7)液体Liブランケット材中の窒素不純物回収のためTiFe合金で回収可能であることを明らかにした,(8)LiPb熱流動かつ中性子照射下でトリチウム製造と回収を初めて定量的に明らかにした.(9)Li_2Tio_3のトリチウム増殖性能を格段に高めるためLi_2O添加新規ブランケット材を初めて製作し、材料が化学的かつ物理的にも核融合炉環境下で使用できることが明らかになった.研究年度最後にB1班とB2班合同成果報告会を東京で開催し、各自の研究成果の説明をおこなうとともに計画研究内の議論を集約し、別に名古屋で開催された特定領域全体の成果報告会に報告し好評を得た。
1: 当初の計画以上に進展している
本計画研究班の達成数値目標をブランケット内透過阻止率1/10^3以下、回収率99%以上を立て計画研究を実行した。B2班で、Er透過阻止率が1/10^4以上を達成するとともに、B1班で液体と固体双方のブランケット中のトリチウムの微細移行過程の把握に成功し、回収率達成のメドを立てる事が出来た.
本課題では、各種ブランケット材のトリチウム回収過程と透過阻止過程に達成目標を立て、核融合炉の実現化に成果を残したと考えている.その過程でシステム研究のB1班と材料研究B2班で、研究の発展を図るとともに、若手育成や多くの情報発信も含めて大きな成果を得たと考えている.今後の展開として核融合炉ブランケットは熱発生転換装置であり、経済性も含めて熱分野等のさらに多方面の共同研究が必要と考えられ、本研究代表者も今後は、その点に留意し、研究推進したいと考えている.
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (24件) 備考 (1件)
Transaction of Fusion Science and Technology
巻: (in printing)
巻: (In printing)
Journal of Energy and Power Engineering
巻: 6(In printing)
Fusion Engineering and Design
巻: 86 ページ: 1702-1705
doi:10.1016/j.fusengdes.2011.04.032
ASME Conference Proceedings, ICONE18-29268
ページ: 523-531
九州大学大学院総合理工学府報告
巻: 33 ページ: 9-16
九州共立大学総合研究所紀要
巻: 4 ページ: 13-18
Memoirs of the Faculty of Engineering, Kyushu University
巻: 67 ページ: 67-76
Proceedings of the 7th International Conference on Clean Coal Technology and Fuel Cells
ページ: 199-200
http://tritium.nifs.ac.jp/