研究概要 |
本年度は大サイズクラスター生成の準備を進め、高圧パルスバルブの導入により、プロトン付加水クラスターH+(H2O)nにおいてn=200までの大サイズ生成に成功した。また、KTA結晶を使った差周波発振により、結晶水によるギャップのない3μm領域の赤外光発生を達成した。 これらの技術開発と平行して、赤外分光による大サイズ中性水クラスターにおける水素結合構造の解明を進めた。フェノールを発色団とする赤外-紫外二重共鳴法において、サイズ選択を質量分析法だけに頼ることにより、Δn<5のサイズ選択性を保ちつつ、n=10-50の広いサイズ領域でクラスターの赤外分光に成功した。その結果、水の水素結合ネットワークが、小サイズにおける歪みの大きな4員環主体の構造から、歪みの少ない5, 6員環主体の構造へとサイズ増大と共に移行する様子が初めて実験的に捉えられた。
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