計画研究
平成21年度は、昨年度までに確立した生体関連分子の気化法を利用した超音速ジェットレーザー分光を適用することにより、生体認識機構の好例である神経伝達関連分子についての構造解析を行なった。ホールバーニング分光、赤外分光法の結果から、これまで極めてフレキシブルと思われていた神経伝達分子の構造が実際にはほとんど一意に決定され、構造揺らぎがほとんど観測されないことを明らかとした。類似骨格の分子であっても、神経伝達を担わないとされる分子においては大きなフレキシビリティが観測されたため、神経伝達過程において構造揺らぎが重要な意味を持つ可能性が明らかとなった。またこれらの分光測定と平行して、公募研究の米澤グループとの共同研究を通じて、レーザー蒸発法に利用するマトリックスの改良を進めた。これまでマトリックスには全波長領域の光を吸収するグラファイトが慣用的に使用されてきたが、米澤グループが開発した構造化金ナノ粒子を利用することでその蒸発効率を大きく向上できることが明らかとなった。蒸発量の高レベルでの安定化により測定時間の短縮化やこれまで困難であった系での応用が期待される。また新規マトリックスの開発も加速されると期待される。一方、昨年度導入した高繰返し再生増幅器を利用した過渡蛍光検出顕微分光法の改良も進め、分解能1μm以下の空間分解能、5ps以下の時間分解能を有する超分解能赤外顕微分光法を可能にした。さらに、吸収飽和を利用した超超分解能顕微法の原理検証も行なった。これらの手法の開発により、例えば細胞内の極微領域ごとのダイナミクス測定を行い、気相における観測との比較検討を行う体制が確立された。
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