計画研究
平成22年度は、昨年度までに実用を開始した生体関連分子の気化法の改良を進め、数残基のアミノ酸から構成されるペプチド分子に対する超音速ジェットレーザー分光を実現するに至った。実際に、神経伝達系のイオンチャンネル開閉をつかさどる受容体タンパク質の基質結合部位のモデルペプチド分子に対しホールバーニング分光、赤外分光法を適用した。理論計算による構造計算の支援を得ることで、これまで極めてフレキシブルと思われていたペプチド分子の構造が実際にはほとんど一意に決定され、構造揺らぎがほとんど観測されないことを明らかとした。また、アドレナリン、ノルアドレナリンといった上記受容体の刺激物質となるカテコールアミン神経伝達物質についての分光研究も平成21年度に引き続き推進した。気化法の改良により測定データの質が劇的に向上した結果、これまでの研究では測定データの質の問題から見落とされていた異性体を新たに発見するに至った。一方、昨年度導入した高繰返し再生増幅器を利用した赤外顕微分光法の改良も進め、振動和周波発生分光法を顕微分光法と融合させることで空間分解能1μm以下、時間分解能およそ3psを有する超分解能赤外顕微分光法を可能にした。これにより例えば、染色を行なうことなく、かつ細胞の部位選択的に生細胞の赤外分光を行なうことが可能になる。これらの手法の開発により細胞内の受容体と基質の結合部位のみの情報を抽出し、気相における観測との比較検討から包括的に分子認識機構の研究をする体制が確立された。
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