生命現象を総合的に理解するためには「細胞内分子機械」ともいえるタンパク質の発現の動態を翻訳後修飾やタンパク質相互作用を含めて分子レベルで測定・制御する必要がある。マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法はタンパク質など生体高分子の質量分析におけるイオン化法として広く用いられているが、MALDIのイオン化機序は未だ解明には至っていない。MALDIのイオン化機序を解明することによってイオン化効率や再現性が向上すれば、MALDIのさらなる応用が期待できる。 本研究課題では、「低エネルギーフォトンによる生体分子の修飾・代謝の計測」を目指し、赤外レーザーと紫外レーザーによる新規質量分析手法を確立するために、中赤外波長可変レーザーを利用し、レーザー波長と分子の相互作用の関係からMALDIのイオン化メカニズムを探り、タンパク質の修飾・代謝と赤外レーザー波長との関係を明らかにすることを目指す。
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