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2011 年度 実績報告書

時間分解分光法を用いた非解離イオン化質量分析機構の研究

計画研究

研究領域分子高次系機能解明のための分子科学―先端計測法の開拓による素過程的理解
研究課題/領域番号 19056008
研究機関首都大学東京

研究代表者

藤野 竜也  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20360638)

キーワード質量分析法 / MALDI法 / プロトン移動 / 時間分解分光
研究概要

1.トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)の場合、分子内水素結合を形成する水酸基(σ-OH)のプロトンが、マトリクスの光励起に伴いカルボキシル基へと移動する。その後マトリクスの光励起の際に生成したσ-Oへ水和水又は残存溶媒からのプロトンが付着し、[THAP+H]^+が形成されることが理解された。
2.マトリクスイオン(主に[m+H]^+)の生成が最初に必要であり、その後試料分子へプロトンやカチオンが移動し試料がイオン化される。このダイナミクスを追うために、試料として指示薬のパラニトロフェノール(pNP)を利用し時間分解過渡吸収を測定した。その結果、溶液中でTHAPを励起後、約3psの時定数によりpNPのプロトン付加が観測された。現在、質量分析用の試料固体での測定を目指している。
3.脱離のダイナミクスのみを観測する目的で、テトラセン混合アントラセン(TDA)結晶を利用し、テトラセンイオン[M]^+の脱離過程を、開発した時間分解質量分析法により測定した。マトリクスとして利用したアントラセンの電子緩和に伴う分子間への振動冷却過程が脱離に重要であることが理解され、その時定数は約100psであった。2の結果と統合すると、通常のMALDI測定と同様に低いレーザーパワーを用いて質量分析を行う場合、イオン化は脱離の前に起き、MALDIはMALIDと表記すべきと示唆された。
4.水酸基のプロトンをLi^+,Na^+.K^+.Rb^+,Cs^+に置換したゼオライトとマトリクスの複合体を作成し、これまでイオン化されなかった数多くの分子(バルビタール、アスピリン、テトロドキシン等)のイオン化に成功している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Desorptiou Dynamics of Tetracene Ion from Tetracene-Doped Anthracene Crystals Studied by Femtosecond Time-Resolved Mass Spectrometry2012

    • 著者名/発表者名
      Y.Minegishi, D.Morimoto, J.Matsumoto, H.Shiromaru, K.Hashimoto, T.Fujino
    • 雑誌名

      J.Phys.Chem.C

      巻: 116 ページ: 3059-3064

    • DOI

      10.1021/jp210884p

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of Zeolite Matrix for Soft Ionization2011

    • 著者名/発表者名
      J. Suzuki, Y. Komori, T. Fujino, H. Shima, J.N. Kondo, K. Hashimoto, T. Korenaga
    • 学会等名
      IUPAC International Congress on Analytical Science 2011
    • 発表場所
      Kyoto, Japan
    • 年月日
      20110522-26
  • [図書] 生命科学のための分析化学2011

    • 著者名/発表者名
      伊永隆史、藤野竜也, 他6名
    • 総ページ数
      11-32,43-61
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2013-06-26  

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