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2008 年度 実績報告書

時間分解共鳴ラマン分光法によるタンパク質アロステリック機構の動的構造基盤の解明

計画研究

研究領域分子高次系機能解明のための分子科学―先端計測法の開拓による素過程的理解
研究課題/領域番号 19056013
研究機関大阪大学

研究代表者

水谷 泰久  大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60270469)

キーワード共鳴ラマン分光法 / 時間分解分光法 / アロステリックタンパク質
研究概要

1. 高感度時間分解可視・紫外共鳴ラマン分光システムの製作
高繰り返しパルスレーザーシステムを導入し、高感度の時間分解可視・紫外共鳴ラマン分光システムを構築した。これによって、現有のシステムと併せ、ピコ秒からミリ秒の幅広い時間領域にわたって、ヘム(〜400nmにて共鳴)、芳香族アミノ酸残基(〜230nmにて共鳴)、ペプチド骨格(〜200nmにて共鳴)など、タンパク質の多くの部位を特異的に観測することができるようになった。この分光システムを用いて、以下の研究を展開した。
2. ヘモグロビンのアロステリックダイナミクスに関する測定
これまでヘモグロビンの構造ダイナミクス研究では、生理的なリガンドである酸素の代わりに、一酸化炭素がリガンドとして主に用いられてきた。これは酸素を用いた時間分解測定が極めて困難であるためである。本研究では、上記の高感度の時間分解共鳴ラマン分光システムを用いることによって、酸素を用いた時間分解測定の困難を克服し、ヘモグロビンの生理的に重要な構造ダイナミクスをとらえることに成功した。
3. ヘム含有酸素センサータンパク質に関する研究
ガスセンサータンパク質では、センサードメインに含まれるヘムに、ガス分子(検知対象の分子)が結合することによって局所的な構造変化が誘起され、それが機能ドメインに伝達され、活性が制御されている。この機構を明らかにするために、酸素センサータンパク質のひとつであるHemATについて、リガンド脱離に伴う構造ダイナミクスを観測した。その結果、酸素リガンドに特異的なスペクトル変化を新たに見出した。
上記のタンパク質以外にも、光センサータンパク質(イエロープロテイン、センサリーロドプシン)、光駆動プロトンポンプ(バクテリオロドプシン)などの光受容タンパク質についてもアロステリック構造ダイナミクスの研究を行った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Photoinduced Electron Transfer in Glucose Oxidase : a Picosecond Time-resolved Ultraviolet Resonance Raman Study2008

    • 著者名/発表者名
      Akiko Fujiwara
    • 雑誌名

      J. Raman Spectrosc 39

      ページ: 1600-1605

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 共鳴効果を利用する生体分子の部位特異的ダイナミクス観測2008

    • 著者名/発表者名
      永野操
    • 雑誌名

      分光研究 57

      ページ: 179-194

    • 査読あり
  • [学会発表] 時間分解共鳴ラマン分光法によるガスセンサータンパク質HemATの酸素脱離に伴うダイナミクスの観測2009

    • 著者名/発表者名
      吉田祐
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学理工学部船橋キャンパス
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] バクテリオロドプシンの光反応初期過程におけるタンパク質ダイナミクス2008

    • 著者名/発表者名
      水野操
    • 学会等名
      第2回分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-24
  • [学会発表] バクテリオロドプシンのピコ秒時間分解紫外共鳴ラマンスペクトル : 部位選択的観測でみるタンパク質部分の初期構造ダイナミクス2008

    • 著者名/発表者名
      水野操
    • 学会等名
      第35回生体分子科学討論会
    • 発表場所
      兵庫県立先端科学技術支援センター
    • 年月日
      2008-06-27
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/mizutani/index-jp.html

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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