本計画研究では、細胞周期の制御分子の分解メカニズムとそれを介した細胞増殖調節機構を明らかにすることを目的とし、網羅的解析と特定分子に関する詳細な量的制御機構の解析を行っている。特定分子に関しては、(1)細胞周期のブレーキであるCDK阻害タンパク質p27の新規分解メカニズムとヒト腫瘍発生機構の関係を解析した。我々はp27の新たなユビキチンリガーゼとしてPirh2の同定に成功しているが、Pirh2がヒトの頭頸部がんにおいて高発現していることを見いだした。また、Pirh2の発現量はp27の発現量と逆相関すること、予後と生の相関を示すことを見いだした。今後予後マーカーとして医学的応用が期待出来る。(北川)(2)SCFユビキチンリガーゼの阻害タンパク質を同定した。このタンパク質を細胞内に過剰発現することによりサイクリンE等の標的タンパク質の蓄積がみられることを見いだした。 (北川)(3)本計画他の計画班員とも協力して、領域全体のテーマである細胞増殖制御の解明を目指している。我々は竹内隆博士(三菱生命研)と共同でCDK4の新たな標的タンパク質を同定しさらに解析中である。(北川)(4)SCFユビキチンリガーゼの細胞内での役割の解析を行い、FBXW7を含むSCF複合体がc-Mybのユビキチン化をおこなうことを明らかにした。(渡邉)(5)ポロ様キナーゼはタンパク質ユビキチン化に重要な役割を有するが、その基質認識領域に依存した結合阻害物質を単離し、結合の細胞分裂における役割を明らかにした。また、ポロ様キナーゼによるBclXLタンパク質のリン酸化とアポトーシスに対する役割を明らかにした。(渡邉)
|