1.卵成熟の細胞周期制御 RSKによるEmi2の安定化・活性化の分子機構を詳細に解析した。まず、Emi2のC最末端(RL tailと命名)がAPC/Cと結合し、その活性を阻害することを示した、また、Cdk1がEmi2のN末端をリン酸化し、そこに結合したCdk1自身やPlk1がRL tai1を含むいくつかの部位をリン酸化し、Emi2を不安定化・不活性化させることを見出した。そして、重要なことにRskによるリン酸化部位(S335/T336)にはPP2Aが結合し、Cdk1やPlk1によるリン酸化に拮抗することでEmi2を安定化・活性化させることを明らかにした。 2.中期胞胚遷移(MBT)のチェックポイント制御 卵割期におけるATRキナーゼ活性がDNA合成阻害、過剰核の存在、(MBTでのDNAと同量の)プラスミドの導入によって上昇することから、MBTがDNA複製チェックポイントによることを直接的に示した。また、過剰(未複製)DNAにATRが結合し、活性化されることを示した。 3.MBT後の細胞周期制御 Cdc25には新規Cdc25Dが存在し、肝臓原基などに発現することを見出した。また、細胞運命決定に重要なNotchがCdk2などによって負に制御され、神経分化に関与することを示した。 4.分担研究 Cdk9タンパク質は中期胞胚遷移(MBT)頃までは胚に一定量存在しその後増加し始めるが、それは母性mRNAのpoly(A)鎖伸長で翻訳反応が促進されることにより生じ、胚性転写に依存するものではないことを明らかにした。
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