計画研究
細胞分裂は一連のタンパク質リン酸化によって進められ、分裂装置のダイナミズムを制御するモーター蛋白質の機能は、M期キナーゼによるリン酸化によって制御されていることが知られている。我々は先行研究において、動原体の変形を生細胞で可視化した結果,チェックポイントの解除には、セントロメアの伸長でなく、動原体の"ストレッチング"と我々が名付けた動原体が反復して起こる変形こそが重要であることを見いだした(Uchida et al. 2009 J. Cell Biol)。本研究では動原体ストレッチングの分子背景について重点的に解析を進めた。M期キナーゼのPoloキナーゼ(Plk1)は、その一部が動原体に局在して中期から後期への進行を誘導するとの観察から、Plk1のリン酸化活性を制御することなく2通りの方法(動原体におけるPlk1の足場となるINCENPの非リン酸化変異体置換実験、およびPolo box依存的なタンパク質局在を特異的に制御する化合物処理実験))によってPlk1を動原体より除去することを試みた。いずれの方法によってもPlk1の動原体局在はほぼ消失し、同時に、動原体のストレッチングが完全に抑えられた(Uchida et al. unpublished)。動原体ストレッチングは、分裂期モーターが関与する微小管の重合・脱重合に依存して起こると考えられ、従って、Plklによるモータータンパク質の制御が動原体ストレッチングを誘導している可能性が示唆された。現在、候補となるモータータンパク質について動原体ストレッチングとの関連性を調べている。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Journal of cell Biology 184
ページ: 4188-4196
Cancer Science
ページ: In-press
Journal of Biological Chemistry 283
ページ: 24426-24434
http://www.jfcr.or.jp/tci/exppathol/index.html