計画研究
(1)プリオンを含むタンパク質の構造多形の生物学的意義の解明タンパク質の機能は立体構造に依存する。この立体構造はアミノ酸配列さえ決まれば一義に決まる、というのがタンパク質科学の大前提であるが、近年の研究の進展により本来の立体構造以外にアミロイドと呼ばれる分子間βシートよりなる秩序をもった凝集状態に構造変換するものがあることがわかってきた。プリオンも含むアミロイドが細胞内でどのような動態、構造で存在しているのかについて、これまで研究を進めてきている。特に昨年度は酵母プリオンSup35タンパク質が細胞内でどのような状態でアミロイドになっているのかを電子顕微鏡を中心とした方法で詳細に観察し、細胞内でのアミロイドについて新たな知見を得た。(2)構成的アプローチによるタンパク質機能発現システムの再構築リボソームで合成されてきたポリペプチドは、アミノ酸配列にしたがった特有の立体構造にフォールディングする必要がある。また、細胞はシャペロンと呼ばれるタンパク質を多数準備してフォールディングが失敗しないようなシステムを備えている。本研究では、従来のフォールディング研究ではほとんど扱ってこなかったリボソームでの合成に共役したタンパク質フォールディングを細胞内や試験管レベルで調べる実験系を構築してきている。昨年度は細胞内でフォールディングを助けるシャペロンの代表である大腸菌シャペロニンGroEL/ESの細胞内での基質タンパク質を網羅的に同定することで、細胞内でのシャペロンの役割について重要な新知見を得た。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
EMBO Journal
巻: 29 ページ: 1552-1564
Journal of Cell Biology
巻: 190 ページ: 223-231
FEBS Journal
巻: 277 ページ: 1359-1368