計画研究
(1)プリオンを含むタンパク質の構造多形の生物学的意義の解明アミノ酸配列によって一義に決まるタンパク質の天然構造に機能が依存するというのがタンパク質科学の大前提である。しかし、この10数年のタンパク質科学の進展により、本来の立体構造以外にアルツハイマー病やプリオン病など哺乳類の神経変性疾患と強く関わるアミロイドと呼ばれる分子間βシートの凝集状態が知られるようになってきている。プリオンも含むアミロイドが細胞内でどのような動態、構造で存在しているのかについて、これまで研究を進めてきている。特に昨年度は酵母プリオンSup35タンパク質が細胞内でどのような状態でアミロイドになっているのかを電子顕微鏡を中心とした方法で詳細に観察し、細胞内でのアミロイドについて新たな知見を得た。(2)構成的アプローチによるタンパク質機能発現システムの再構築リボソームで合成されてきたポリペプチドは、アミノ酸配列にしたがった特有の立体構造にフォールディングする必要がある。また、細胞はシャペロンと呼ばれるタンパク質を多数準備してフォールディングが失敗しないようなシステムを備えている。本研究では、従来のフォールディング研究ではほとんど扱ってこなかったリボソームでの合成に共役したタンパク質フォールディングを細胞内や試験管レベルで調べる実験系を構築してきている。昨年度は細胞内でフォールディングを助けるシャペロンの代表である大腸菌シャペロニンGroEL/ESの細胞内での基質タンパク質を網羅的に同定することで、細胞内でのシャペロンの役割について重要な新知見を得た。
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http://www.taguchi.bio.titech.ac.jp