計画研究
(1)プリオンなどの構造多形:アミノ酸配列がタンパク質の天然構造を一義に決定するというアンフィンゼンのドグマによるタンパク質観は、アミロイドやプリオンといった秩序ある凝集状態や、単独では天然構造を取り得ない天然変性タンパク質の概念の登場により再検討を余儀なくされている。本研究課題において我々は、酵母プリオンやポリグルタミンをモデルとしてアミロイド構造の細胞内での構造や伝播機構について研究を進めた。研究期間内に、酵母プリオン伝播に必須の役割を果たしているHsp104の役割の解明、細胞内でのアミロイドの構造、細胞内でのプリオンタンパク質の1分子追跡法の開発などを行った。さらに、出芽酵母の200種類にもおよぶタンパク質の細胞内動態を調べるに至った。(2)タンパク質機能発現システムの再構築:タンパク質のフォールディングは常に凝集体形成の危機にさらされている。生体高分子でひしめいている細胞内で凝集形成がいかに抑制されているかを解明することが「タンパク質の社会」の理解には必須である。本研究課題では、再構築型の無細胞翻訳系を用いた凝集形成アッセイ、凝集を抑えてフォールディングを助けるシャペロンの役割、について研究を進めた。無細胞翻訳系による研究では、大腸菌の全タンパク質の凝集形成のしやすさ、さらにGroELやDnaKなどのシャペロンを加えたときにどのタンパク質の凝集が抑制されるかについて大規模な解析を行った。これらの結果により、タンパク質の一次配列や立体構造と凝集しやすさの相関やシャペロン間の役割分担について新たな知見を得た。細胞の生育に必須のシャペロンであるシャペロニンGroELの細胞内における基質タンパク質を同定し、その性質を明らかにした。
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