研究概要 |
1. ミトコンドリア膜間部でジスルフィド結合を導入するTim40の結晶構造の決定 Tim40コアドメインの構造をX線で決定した。Tim40上の基質結合部位として同定した疎水性領域の疎水性アミノ酸の重要性をアミノ酸置換で証明した。また基質結合部位の変異に伴うTim40の機能欠損はTim40に酸化力を提供するパートナータンパク質Erv1の過剰発現により抑制され,Erv1の新機能が示唆された。 2. βバレル膜タンパク質の外膜への組込みにおけるMdm10の役割の解明 Tom40などβバレル膜タンパク質のアセンブリーを担うTOB複合体のサブユニットMdm10は,TOB複合体に入ったTom40の解離を特異的に促進する因子であることを明らかにした。Mdm10は他のサブユニットとのアセンブリーが出来るまでTom40をTOB複合体に留める働きがあるものと考えられた。 3. TIM23複合体メンテナンス因子Tam41のマルチコピーサプレッサーArt5の機能の解明 Tam41の欠損株のマルチコピーサプレッサーとしてArt5を同定した。Tam41が欠失するとミトコンドリア内膜のカルジオリピンが低下するが,Art5はカルジオリピン量を回復する代わりに,他の酸性リン脂質量を増加させることでTIM23複合体の機能回復を促したと考えられた。 4. 小胞体のBipが植物の優性生殖における核融合を制御することを発見 モデル植物シロイヌナズナで、Bipを欠損すると植物の有性生殖過程における核融合のひとつである極核融合がおこらなくなることを見いだした。さらに、受精後の胚乳核の分裂制御に、Bipが関わる極核の融合が必要であることも見いだした。
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