計画研究
本研究では、大腸菌における膜タンパク質の生合成、機能維持と制御、分解等の諸過程をグローバルな「品質管理機構」としてとらえ、これに関わる因子の作用メカニズムと相互作用、並びに生理的役割の全体像を解明することを目的とする。膜タンパク質が正しく機能を発現するための「品質管理」は、膜機能、ひいては細胞機能の維持に欠くことが出来ない。本研究は生物種を越えた「膜タンパク質品質管理ネットワーク機構」を理解することに寄与する。本研究はこれまでの申請者らの研究を総合・発展させ、ネットワークとして膜タンパク質の品質管理をとらえて研究するものである。本年度は、高度好熱菌タンパク質透過チャネル(トランスロコン)SecYEの立体構造を、SecYに対するモノクローナル抗体断片との複合体としてX線結晶構造解析によって決定した。解かれたSecYEの構造には、静止型構造にはない凹みが細胞質領域に観察され、この構造をプレオープン構造と命名し、タンパク質膜透過におけるトランスロコンの構造変化を伴う機能モデルを提唱した。また、RIP protase RsePがcircular permutateした一時配列の二つのPDZドメインをもつことを示し、そこへのリガンド結合がRsePの機能制御に関わることを示唆した。さらに、RsePの基質結合に重要な領域として、3番目の膜貫通領域(TM3)を同定し、TM3が直接基質結合に関わる可能性を示した。また、RseP基質切断に重要な、基質膜貫通部位中のHelix-dstablizing残基が、RsePの基質との相互作用を促進することを明らかにした。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
J. Biol. Chem 283
ページ: 9562-9570
ページ: 35042-35052