なんらかの原因で細胞内にミスフォールドしたタンパク質ができてしまった場合、それを分解処理する必要があるが、本研究においては、細胞の品質管理機構において、1) どのように分解すべき基質のみが認識され、分解処理にまわされているか、および、2) 変性あるいは凝集したタンパク質を、どのように分解可能な状態に保持し、かつ効率的に分解装置にアクセスさせるか、という2点に注目して研究を行うことを目的とする。 平成20年度においては、ERdj5の他に小胞体において酸化還元に関与する因子の探索を行い、新たな酸化還元酵素TMX4を発見、クローニングすることに成功した。TMX4は小胞体膜に局在する酸化酵素であり、タンパク質の構造形成に必須のジスルフィド結合形成に関与することを示すことができた。特に、TMX4の小胞体内腔側に存在するCXXCモチーフが酸化に関与することを変異体作成などによって明らかにし、またTMX4が小胞体分子シャペロンカルネキシンと相互作用することによって、新生ポリペブチド鎖にジスルフィド結合を導入することを示し、また同様に他の酸化還元酵素ERp57とも相互作用しつつ、その活牲を発揮している可能性を示した。
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