計画研究
昨年度、UPRによる小胞体の秩序制御機構を包括的に理解するために、新たにメダカを用いる解析システムを立ち上げ、メダカ培養細胞を用いて、メダカでも哺乳動物の場合と同様に、小胞体ストレス応答が活性化することを示し、安価に大量飼育を行うことができるメダカが、小胞体秩序制御機構を解析する上で、非常に有用なモデル生物となりうると結論した。そこで今年度は、まず主要な小胞体ストレス応答発動因子(IRE1α、IRE1β、PERK、ATF6α、ATF6β)について、既存の変異原処理ライブラリーをスクリーニングすることによって、これらのメダカノックアウト個体を同定した。解析の結果、これらのシングルノックアウトはメダカの発生、成長に影響を及ぼさないことを見いだした。しかしながら、ATF6αとATF6βのダブルノックアウトは、マウスの場合と同様に、胚生致死となった。さらに、IRE1αとPERK、PERKとATF6α、ATF6αとIRE1αのダブルノックアウトは、生まれてくるものの6ヶ月以内に死亡することを見いだした。UPRの主要な標的遺伝子である小胞体シャペロンBiPの第一エクソンをGFP遺伝子と置き換え、GFPがBiPプロモーターの制御下で発現するトランスジェニックメダカを作出し、小胞体ストレスによるBiPの転写誘導を個体レベルで可視化することに成功した。このトランスジェニックメダカとIRE1α、PERK、ATF6αノックアウトメダカを掛け合わせることにより、BiPの主要な制御因子がマウスの場合と同様にATF6αであることを明らかにした。
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Biochem.Biophys.Res.Commun.
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http://www.upr.biophys.kyoto-u.ac.jp/