計画研究
特定領域研究
細胞内のタンパク質は時間的にも空間的にも秩序を持った「タンパク質の社会」の一員として存在する。タンパク質社会がどうやって機能を実現し、その秩序を維持するのかを解明することが本特定領域研究の目的であるが、秩序維持機構として最もよく研究されているのが、小胞体におけるタンパク質の品質管理機構であり、その中心をなすのが小胞体ストレス応答と小胞体関連分解である。これまで、特に小胞体関連分解について、哺乳動物細胞でのノックダウン実験を行ってきたが、期待されるほど明瞭な結果が得られなかった。やはりノックアウト解析をする必要があるが、マウスで網羅的な解析を行うことは実際上困難である。そこで、同じ脊椎動物であるメダカでは、比較的安価にノックアウト個体を同定することが可能であり、容易に大量飼育することができることに着目し、メダカ培養細胞の解析を行った。その結果、哺乳動物培養細胞での結果と非常によく合致した細胞応答を示すことが明らかになった。そこで、全面的にメダカを用いた解析に変更することとし、小胞体ストレス応答発動因子のノックアウト個体の同定に着手し、既に6種のノックアウト個体を得た。今後解析するノックアウト個体の数を増やし、小胞体ストレス応答と小胞体関連分解に関与する遺伝子のノックアウト個体を包括的に解析することによって、タンパク質社会における秩序維持システムの成立と成熟について新たなパラダイムを提案したい。
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