研究概要 |
本年度は以下の研究項目に取り組み、分子レベルでの成果を得ることができた。 1)ペルオキシソームの形態制御機構:形態制御因子Fis1の発見 ペルオキシソームの形態制御因子としてCHO変異細胞ZP121を用いて見出したダイナミン様タンパク質DLP1のペルオキシソーム膜上レセプターとしてFis1を形態学的および生化学的手法により見出した。加えて、Fis1はDLP1のみならずPex11pとも結合することが観察されたことから、これら3者複合体の協奏的作用によりペルオキシソームの形態形成とくに分裂とその調節が行われているものと推察した。 2)AAAATPaseフミリーPex1p-Pex6p複合体のリクルーターPex26pによるペルオキシソームへの局在化のダイナミズムとその生理的意義 Pex1pとPex6pの分子解剖とPex26pとの3者複合体形成とペルオキシソーム形成時における機能、すなわちPTS1レセプターPex5pのシトゾール-ペルオキシソーム間のシャトリングに中心的役割を果たしており、その時空間的ダイナミズムについて提唱した。 3)Pex19pによるペルオキシソーム膜タンパク質の輸送と膜形成機構 ペルオキシソーム膜アセンブリーに必須な因子として見出したPex19pは新規に合成されるペルオキシソーム膜タンパク質と細胞質ゾル中で複合体を形成、安定化し,次いで経時的に膜形成に依存して輸送,膜上レセプターPex3pを介して局在化させる。そのPex3pのPex19p結合領域配列中最も保存度の高いTrp104が必須であることを、複合体形成能とpex3 CHO変異細胞ZPG208に対する相補活性検定により明らかにした。 4)ペルオキシソーム形成機構解明へ向けた新規変異細胞の分離 CHO細胞より現在までに多くのペルオキシソーム形成異常を示す変異細胞株を分離してきた。今回、DNA変異剤としてICR191を用いて新規な表現型を呈する変異細胞、数株の分離に成功、その詳細を解析した。
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