研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
19058011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤木 幸夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70261237)
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研究分担者 |
田村 茂彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90236753)
奥本 寛治 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (20363319)
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キーワード | ペルオキシソーム / CHO変異細胞 / ペルオキシソームの形機構 / ペルオキシン / ペルオキシソーム欠損症 / ペルオキシソーム膜形成 |
研究概要 |
本年度は以下の研究項目に取り組み、細胞および分子レベルでの成果を得ることができた。 1) ペルオキシソームマトリックスタンパク質の輸送・局在化機構の解明 ペルオキシソーム移行シグナル1(PTS1)受容体、Pex5pの膜状ドッキング因子Pex14pのN-末側領域、Pex14p(25-70)の結晶構造解析に成功、3個のヘリックスからなるドメイン構造を明らかにした。また、保存性の高いPhe-35およびPhe-52が近傍の塩基性アミノ酸残基とで形成する結合部位(Sites 1 & 2)にPex5pペンタペプチドモチーフ、WXXXF/Yがすっぽりはまり込む構造をとっていることを見出した。Pex14pのPhe-35およびPhe-52の重要性を明らかにした。 2) ペルオキシソーム膜タンパク質の輸送と膜形成機構 ペルオキシソーム膜形成因子、Pex3p、Pex16p、およびPex19pに関し、先にPex19pが新規合成ペルオキシソーム膜タンパク質と細胞質ゾルで複合体を形成、膜上のPex3pへ輸送・局在化させることにより、膜形成が起きること(Class I pathway)を明らかにしている。今回、Pex19pは同様に新規合成Pex3pと複合体を形成、膜上のPex16pへ標的化することにより、ペルオキシソームの膜形成が始まることを発見した(Class II pathway)。 3) ペルオキシソームのホメオスタシス 動物細胞でのペルオキシソーム恒常性の分子機構解明を目指している。今回、ペルオキシソーム特異的なオートファジーと思われる現象(リソゾームでの分解)が、LC3(Atg8)とペルオキシンPex14p依存的に起きることを、初めて見出した。この過程は、ほ乳動物細胞におけるペルオキシソームのホメオスタシス維持の一機構と推察される。 4) エーテルリン脂質プラスマローゲンの機能と輸送機構 ペルオキシソームは、重要なリン脂質プラスマローゲンの生合成経路のうち初期2段階反応をdihydroxyacetone-phosphate acyltransferase (DHAPAT)およびalkyl-dihydroxyacetonephosphate synthase (ADAPS)により担う。プラスマローゲンの機能と輸送機構の解明を目的とし、ADAPS障害性CHO変異細胞株ZPEG251の分離に成功した。プラスマローゲンのペルオキシソーム-小胞体での生合成終了後の膜への輸送経路を検討した結果、post-Golgi区画に局在化した。その輸送はATP依存性であるが、微小管形成や小胞輸送の阻害剤の影響は受けない経路を辿ることも見出した。
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