研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
19058012
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小椋 光 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00158825)
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研究分担者 |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90212290)
江崎 雅俊 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (70437911)
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キーワード | AAAタンパク質 / 分子シャペロン / spastin / ClpX / Bcs1p / 微小管 / 線虫の性決定 / 高速原子間力顕微鏡 |
研究概要 |
AAAシャペロン群の分子機構について解析し、以下の知見を得た。線虫のspastinホモログSPAS-1の微小管結合ドメインのNMR解析を行い、微小管結合ドメインが構造をもたないintrinsically disordered領域であることを明らかにし、ポア周辺の塩基性アミノ酸残基についての遺伝的結果とも合わせ、spastinの微小管切断モデルを提唱した。同じく微小管切断活性をもつ別のAAAタンパク質kataninの微小管認識機構を詳細に解析するため、種々の改変tubulinを発現する酵母の系でウニkataninを発現し、酵母の生育と微小管ネットワークの形態について解析する系を確立した。また、大腸菌のClpXが細胞分裂に必須のFtsZタンパク質に直接相互作用して、その線維形成を制御することを明らかにし、FtsZ線維のダイナミクスを高速原子間力顕微鏡で観察した。さらに、呼吸鎖複合体IIIへのRieske鉄硫黄タンパク質の会合に働く膜結合型AAAシャペロンBcs1pは、基質タンパク質と相互作用するポアループの@XGモチーフは他のAAAタンパク質とは異なる部位に存在し、複合体IIIのサブユニットCor1pとQcr2Pと相互作用することを明らかにした。一方、AAAシャペロンの細胞機能については以下の知見を得た。線虫のp97が性決定の制御タンパク質TRA-1の分解に働くことを明らかにし、p97と相互作用してその分解機構を制御するユビキチンリガーゼやUBXアダプタータンパク質などを明らかにした。また、酵素のbcs1欠失変異体では、Rieske鉄硫黄タンパク質の他に10数個のミトコンドリアタンパク質が減少することを明らかにし、Bcs1pが呼吸鎖複合体III以外の複合体の会合にも働く可能性が強く示唆された。
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