研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
19058012
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小椋 光 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00158825)
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研究分担者 |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90212290)
江崎 雅俊 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (70437911)
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キーワード | AAAタンパク質 / 分子シャペロン / ATPase / ATP加水分解 / 高速原子間力顕微鏡 / ミトコンドリア / 線虫 / 品質管理機構 |
研究概要 |
多機能AAAシャペロンp97の分子機構について解析し、その細胞増殖における必須の機能については、ATPase活性自体よりサブユニット間の正の協同性が重要であることを明らかにした。また、p97による品質管理機構において、線虫の系を用いてUBXアダプタータンパク質およびUFD-2, UFD-3のストレス応答における機能を解析し、UFD-2とUFD-3がそれぞれ正と負に働くことを明らかにした。一方、酵母の系を用いて、p97ホモログCdc48pが外膜タンパク質の分解を通して、ミトコンドリアの形態形成と維持に働くことを見出した。ヒトp97/VCPの変異により、骨バジェット病と前頭側頭葉型認知症を伴う封入体筋炎や筋萎縮性側索硬化症を発症する家系が見つかっている。これらの疾患の神経・筋細胞ではTDP-43の凝集体が蓄積することが分かっている。TDP-43の凝集体・アミロイド線維をin vitroで作製し、ヒトp97/VCPとの相互作用について解析し、ATP非存在下では凝集体に結合し、ATP存在下では解離することを明らかにした。さらに、TDP-43アミロイド線維にp97/VCP 6量体が結合する様子を高速原子間力顕微鏡で画像として捉えた。TDP-43凝集体を脱凝集する活性があるかどうかについて検討している。ミトコンドリア内膜に局在するBcslpは、ミトコンドリア酵素複合体の会合に働くシャペロンと考えられており、そのヒトホモログBCSILの変異は、呼吸鎖複合体III欠損症、GRACILE症候群、Bjornstad症候群を引き起こす。Bcslpの呼吸鎖複合体IIIの会合における役割を解析し、N末端の膜間部の機能的に重要な3アミノ酸残基を同定した。この領域がRieske鉄硫黄タンパク質(Rip)との相互作用に重要である可能性が示唆された。
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