計画研究
平成22年度は、昨年に引き続きパイエル板内共生細菌の同定、およびその細菌による宿主免疫機構の誘導について研究を進めた結果、これまでに、1.マウス小腸パイエル板内にAlcaligenesが恒常的に生息している事、2.Alcaligenesがパイエル板樹状細胞に作用し、IL-6やBAFFといったIgA誘導サイトカイン産生を促すとともにIgA産生B細胞を誘導する事、3.B細胞欠損マウスにおいてパイエル板内Alcaligenesが減少する事、4.高次哺乳類であるカニクイザルおよびヒトのパイエル板内においてもAlcaligenesが検出される事を明らかとした。これらの結果は、「腸内細菌による粘膜組織内共生関係構築」という新規概念を提唱するものとしてPNAS誌に報告された(Proc Natl Acad Sci USA.2010;107:7419-7424.)。一方、絨毛上皮細胞のフコシル化誘導機構の解明を進めた結果、これまでに骨髄由来細胞のうちT細胞やB細胞といった獲得免疫担当細胞の関与は見られないものの、粘膜固有層に存在する自然免疫担当細胞であるCD11陽性細胞、特にマクロファージや好酸球がMyD88分子を介してフコシル化上皮細胞を誘導する事を明らかとした。分担研究者であるSidonia Fagarasanのグループは、パイエル板濾胞性樹状細胞が腸内細菌とレチノイン酸刺激を受けCXCL13やBAFFを産生する事により、IgA陽性B細胞を誘導する事を明らかとした。本研究結果は、IgA抗体産生におけるパイエル板濾胞性樹状細胞の新たな役割を示しており、粘膜面における抗体産生機構の解明に多大な貢献をするものである。なお本研究成果はImmunity誌に報告された(Immunity.2010 23;33:71-83)。
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