1. マウス皮下腫瘍モデルにおいて腫瘍浸潤樹状細胞(TIDCs)の特異的な細胞表面マーカーの検索を行い、ケモカイン受容体CCR7をマーカーに用いることにより、抗原貪食能、抗原提示能、遊走能を持つ機能的なTIDCs(CCR7^+ TIDCs)を同定できること、またCCR7欠損マウスでは抗腫瘍T細胞応答が著明に減弱することを明らかにした。さらにCCR7^+ TIDCsの担癌宿主内動態を解析した結果、CCR7^+ TIDCsは骨髄由来であり、5-10日の間でターンオーバーしていることが明らかになった。 2. 免疫応答に伴うリンパ節髄質領域の構造再構築現象を見出した。再構築像は免疫後3~4日で顕在化し8~10日で実質領域が極大に至ること、再構築過程のごく初期を除きB細胞と抗体産生細胞が髄質実質領域の大半を占めることが明らかとなった。また、再構築過程初期には多様な免疫細胞集団が局在し、特徴的なクラスターを形成していた。一方、再構築後の髄質実質領域では、血管周囲におけるコラーゲン線維の増加が認められた。CD4^+ T細胞の除去実験により、再構築がT細胞依存性応答とは独立した事象であることが示された。以上より、髄質構造の再構築がリンパ節における抗体産生の場の形成を担う機構である可能性が示唆された。 3. 好中球遊走において、DOCK2の細胞内動態がPIP3とホスファチジン酸という2つのリン脂質によって連続的に制御されていることを実証し、先導端形成に関する新しいモデルを提唱した。また、形質細胞様樹状細胞によるI型IFN産生活性化にDOCK2が重要な役割を演じることを見出し、そのメカニズムの一端を解明した。
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