1.腫瘍浸潤樹状細胞(TIDCs)の機能特性および生体内動態、細胞系列を解析し、貪食能と強い抗原提示能を持ち、TLR刺激によりIL12p40を産生すること、骨髄由来細胞であり、5-10日でターンオーバーし、CCR2に部分的に依存して腫瘍に浸潤すること、Ly-6Chi単球/マクロファージとは細胞系列がことなること、を明らかにした。また、CCR7の阻害によりTIDCのリンパ節への遊走を阻害することで、腫瘍特異的CTL応答が著明に抑制されることから、TIDCsが抗腫瘍CTL応答に中心的な約割を果たしていることが明らかになった。 2.リンパ節髄質領域の再構築には、B細胞が必須であることを見出した。さらに、B細胞の血中からの動員、リンパ節内における強力なB細胞応答の誘導のいずれかが満たされることが再構築の誘導条件であることを明らかにした。これら2つの誘導条件は、Ccr7、Cxcr4、Cxcr5のいずれか1つの欠損では髄質領域の再構築、B細胞の髄質領域への集積のどちらにも影響を与えなかった。以上より、髄質領域の再構築に必要なB細胞の髄質領域への遊走・集積は、別の遊走制御因子ないしはこれら3つの受容体も含めた複数の因子により複合的に制御されると考えられる。 3.新たに同定したCDMファミリー分子に関して遺伝子改変マウスを作製し、リンパ球や樹状細胞といった自己免疫応答を担う細胞の遊走・活性化における機能的意義を検討した。また、ICAM-1、ICAM-2、VCAM-1のノックアウトマウスを用いてリンパ球ホーミングにおけるインテグリンの機能につき解析し、末梢リンパ節のHEVとの接着応答は主にICAM-1によって担われているが、いずれのインテグリンもtransendothelial migrationやリンパ組織内での運動には必須ではないことを明らかにした。
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