計画研究
特定領域研究
本研究では、免疫系の自己識別機構の失調や破綻による自己免疫疾患の発症機構を、特にT細胞の抗原特異的、抗原非特異的な観点から解明し、新しい自己免疫疾患の制御法を提唱することを目的とする。研究代表者は、自己認識のための受容体であるT細胞受容体(TCR)に注目し、自己免疫応答の現場に集積しているTCRのクローナルな解析手法を開発してきた。単一細胞よりクローニングしたTCR遺伝子の機能を再構築するユニークなシステムを駆使し、その反応性を、細胞への遺伝子導入による再構築、骨髄細胞への導入による個体レベルの反応などで検討してきた。その過程で、通常の免疫に要するより少量の抗原に対して自己反応性T細胞が活性化されるメカニズムの存在を推測するに至った。この条件下では抗原提示細胞上のMHCクラスII分子の0.2%程度を占める少量の抗原提示により拡張抗原提示の惹起が可能であり、この抗原提示量は報告されている生理的な自己抗原提示量の範囲に相当している。すなわち、本研究ではこれらのメカニズムを追求し、新しい自己免疫応答惹起のメカニズムとその制御法を明らかにすることを目的とする。研究分担者は、T細胞補助シグナル分子のT細胞免疫寛容制御における役割を解明するとともに、補助シグナル分子を標的とした自己免疫反応制御法開発に関する研究を行ってきた。特に、OX40シグナルが制御性T細胞の分化抑制と機能破綻に関与する一方、記憶T細胞の産生維持に重要であることを明らかにし、自己免疫疾患の発症と再発の分子機構の一部を解明した。今後もこれらの研究を発展的に継続し、T細胞補助シグナルを標的とした自己免疫制御法の確立を目指す。
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