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2011 年度 実績報告書

変異自己細胞に対する応答機構と制御

計画研究

研究領域免疫系自己-形成・識別とその異常
研究課題/領域番号 19059008
研究機関京都大学

研究代表者

湊 長博  京都大学, 医学研究科, 教授 (40137716)

キーワード免疫老化 / 白血病 / 全身性自己免疫病 / T細胞
研究概要

本研究課題では、自然発症白血病および全身性自己免疫病(SLE)の遺伝子改変マウスモテルを駆使して、自己応答としての変異(白血病)細胞に対する免疫応答と寛容の分子機構の研究を進めた。正常個体で、加齢に伴い特徴的な形質(PD-1+CXCR5+C/EBPa+Bc16+Satb1-)と機能(クローン増殖能の低下とOsteopontin<OPN>を含む炎症性サイトカインの産生)を有する記憶形質のCD4+T細胞(Senescence associated T cells,Tsen)が増加するが、Tsen細胞は老齢マウスの自発胚中心に局在し、濾胞胚中心形成に必須のBc1-6-/-マウスやB細胞欠質(μMT)マウスでは出現しないので、新しいタイプの濾胞性T細胞であることが示された。また白血病自然発症と進展の過程で、Tsen様の細胞が白血病細胞のリンパ組織への浸潤に伴って新生濾胞胚中心内において急速に増加することが明らかになり、これが悪性化にともなう免疫機能低下の主要な要因であると考えられた。OPNは重要ながん促進因子のひとつであり、Tsen細胞が白血病の進展促進に関与する可能性も示唆される。さらにTsen様細胞は、典型的SLEを自然発症するBWF1マウスにおいても、その腎炎発症に伴って濾胞胚中心内で急速に増加することも明らかになった。これらのTsen様細胞は、自己のB細胞に反応して大量のOPNを産生し、このOPNが腎炎発症に関与していることも示唆された。これらの結果は、通常の加齢に伴うCD4+T細胞の機能変容(免疫老化)と、白血病(変異自己細胞)や全身性自己免疫病にともなう機能変容とが共通の機構によっていることを強く示唆しており、免疫老化とがんや全身性自己免疫病に共通する機構の解明は、これらの病態発症の制御に向けて、新しい局面を開きうるものと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ループスモデルマウスにおいてTsen細胞の解析が進み、その結果としてヒトのSLE腎炎の新規治療法の開発の可能性を示唆する所見がえられたことは、今後新しい創薬シーズとして大きな進展であった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Zoledronic acid-induced expansion of γ δT cells from early-stage breast cancer patients : effect of IL-18 on helper NK cells2013

    • 著者名/発表者名
      Sugie, T., Murata-Hirai, K., Iwasaki, M., Morita, C. T., Li, W., Okamura, H., Minato, N., Toi, M., Tanaka, Y.
    • 雑誌名

      Cancer Immunol. Immunoth

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1007/s00262-012-1368-4.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparative analysis of gamma-delta T cell responses and farnesyl diphosphate synthase inhibition in tumor cells pretreated with zoledronic acid2013

    • 著者名/発表者名
      Idrees, AM., Sugie, T., Inoue, C., Murata-Hirai, K., Okamura, H., Morita, CT. Minato, N., Toi, M., Tanaka, Y
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1111/cas.12124

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rap G protein signal in normal and disordered lymphohematopoiesis. (Review article)2013

    • 著者名/発表者名
      Minato, N.
    • 雑誌名

      Exp. Cell Res.

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] E2A and CBP/p300 act in synergy to promote chromatin accessibility of the immunoglobulin | locus.2012

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto, S., ffakae, K., Anzai, Y., Murai, K., Tamaki, N., Miyazaki, M., Miyazaki, K., Romanow, W. J., Ikawa, T., Kitamura, D., Yanagihira, I., Minato, N., Murre, C., Agata, Y
    • 雑誌名

      J. Immunol

      巻: 188 ページ: 5547-5560

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1002346

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Claudin-4 deficiency results in urothelial hyperplasia and lethal hydronephrosis.2012

    • 著者名/発表者名
      Fujita, H., Hamazaki, Y. , Noda, Y., Oshima, M., Minato, N.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e52272

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0052272

    • 査読あり
  • [学会発表] Immunosenescence and Autoimmunity2012

    • 著者名/発表者名
      Minato, N
    • 学会等名
      International Congree on Autoimmune Diseases
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      2012-04-17

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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