平成19年度は、制御性T細胞由来核移植(nt)ES細胞6クローンに関して、まずTCRβ遺伝子再構成をゲノムレベルで解析しVβクロノタイプを決定した。次に、キメラマウスを作製してntES細胞からT細胞が分化し得るか、さらに制御性T細胞が選択的に分化しうるか検討した。ntES細胞由来のT細胞を同定するために、RAG欠損マウス及びB6.Ly5.1マウス胚盤胞にntES細胞をinjectionしキメラを作製した。その結果、全てのクローンに関してT細胞が分化し、キメラにおいてntES細胞由来のT細胞分化を解析することが可能であることがわかった。そして、1つのクローンに関してTCRα遺伝子再構成および制御性T細胞分化を詳細に解析し、既に再構成を受け制御性T細胞に発現されていたTCRαβ遺伝子を有するntES細胞から制御性(Foxp3^+)CD4^+T細胞とともに非制御性(Foxp3^-)CD4^+T細胞も分化することが明らかになり、TCR特異性のみでは制御性T細胞への分化は決定されないことが示唆された。しかしながら、ntES由来のTCR Vαクロノタイプ以外のVαが発現しており、secondary rearrangementによりntES由来Vαクロノタイプが除かれうることが明らかになった。この影響を排除して制御性T細胞由来TCRの役割を明確にするために、キメラマウスをRAG欠損マウスと交配してntES由来TCRのみをモノクローナルに発現するマウスを作製している。現在、TCRβ遺伝子に関してgerm-line transmissionを確認したところである。また、制御性T細胞由来TCRを追跡できるように、TCRα+/-.Foxp3^<GFP>ノックインマウスからTCRVα2^+Foxp3^+T細胞を単離し、新たにntES細胞を作製している。
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