計画研究
これまでにTreg由来核移植ES細胞クローン1D2から機能的TCRβ遺伝子を受け継いだマウス系統1D2βを樹立し、このマウスを利用して以下の研究を進めた。(1)Treg由来TCRの抗原特異性の解析:1D2αβTCRを個体レベルで再構成するために、レトロウィルスを用いて1D2αβTCRをRAG欠損骨髄細胞に導入し、放射線照射したRAG欠損マウスに移入して"レトロジェニック"マウスを作製した。その結果、Treg及びnon-Tregともに分化し、この1D2αβ TCRがTreg分化を誘導する特異性を有することを明らかにした。また、CD4^+CD8^+細胞以降の胸腺内分化段階で1D2αを発現するトランスジェニックマウスの作製を進め、これを樹立した。(2)Foxp3^+T細胞及びex-Foxp3^+T細胞のレパトワ解析:Foxp3^<EGFPCre>.ROSA^<RFP>ノックインマウスに1D2βおよびTCRCα欠損アリルを導入し、末梢のTreg(GFP^+CD4^+)およびFoxp3発現を失ったex-Foxp3^+(CD44^<high>GFP^-RFP^+CD4^+)、メモリー(CD44^<high>GFP^-RFP^-CD4^+)、ナイーブ(CD44^<low>GFP^-CD4^+)の各サブセットをソートし、Vα2レパトワを解析した。その結果、ex-Foxp3^+T細胞はTregよりもメモリーT細胞と類似したレパトワを発現することを見出した。一方、マウスにおいてもヒトと同様に、活性化を受けたナイーブT細胞において一過的にFoxp3が低レベルに誘導されるものの、このFoxp3はTreg機能を誘導しないことを見出した。以上の結果、ex-Foxp3^+T細胞はTregがFoxp3発現を失ってヘルパーT細胞へと"分化転換"した細胞というわけではなく、ナイーブT細胞の一部が活性化の途上一過的にFoxp3を発現した細胞であると考えられた。
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