研究概要 |
1.葉原基における正の細胞増殖促進因子AN3の機能の解明 an3変異体が細葉となる発生学的原因を決め、またasl,as2の葉の背腹性異常を強調することを見いだした(Horiguchi et al.,2011)。さらにan3変異体の葉原基でAN3をキメラ状に発現させる系を確立し、an3変異に起因する補償作用が、細胞非自律的に制御されていることを初めて証明した(Kawade et al.,2010)。 2.葉の極性展開制御系の解明 ROT4を異所的に発現させた系統の解析から、ROT4が葉に限らず側枝のような器官、あるいはtrichomeの先端基部軸方向への位置価決定に関与しているという仮説を得た(Ikeuchi et al.,2011)。 3.葉柄/葉身の境界およびその他葉の形成を司る遺伝子群の解明 シロイヌナズナ葉原基に見られるarrest frontは一定の位置に保たれることを見いだし、数理モデル解析を行なった(Kazama et al.,2010)、またそのarrestfront近傍に特異的に発現するSPTを同定した(Ichihashi et al.,2010)。さらに鋸歯の形成に関わる遺伝経路を同定した(Kawamura et al.,2010)。またElongator複合体と、オーキシン制御との関連性(Nelissen et al.,2010)、葉の被陰反応による葉柄の徒長現象とオーキシンやブラシノステロイドとの関連を見いだした(Kozuka et al.,2010)。 4.葉の極性軸がシロイヌナズナと大きく異なる単面葉における葉の発生の制御系解明 イグサ属について、単面葉であるにも関わらず平面性をもたらした原因遺伝子の1つがDLであることを遺伝学的に証明し、背腹性の境界に寄らない葉の細胞分裂領域の決定機構、新たな平面成長制御の存在を示した(Yamaguchi et al.,2010)。
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