研究概要 |
(1)AN3を鍵とした諸発生過程 an3の表現型と似た表現型を示す変異体として単離した#2047は、an3と重ねた場合、子葉の予定領域から異所的に根を生じるという表現型を示す。その胚におけるオーキシンの極性的な蓄積には異常はなく、PLT1の異所発現があることが判明した。またこの#2047の原因遺伝子はHANであった(Kanei et al.,submitted)。 (2)補償作用の原因遺伝子 fugu5変異体の細胞分裂欠損は、スクロース投与で回復すること、FUGU5は液胞局在型ピロフォスファターゼであること、また酵母の細胞質型ピロフォスファターゼを発現させると完全に表現型が回復することが判明し、その細胞分裂異常の原因はピロリン酸の異常蓄積にあることが判明した(Ferjani et al.,2011)。 またoli変異体シリーズを含むリボゾーム遺伝子群の変異体について、半網羅的にその機能欠損が葉形態形成に及ぼす影響を解析した結果、遺伝子ごとに、おおむね細胞数減少と葉の背腹性の異常の程度の間に相関が見られたが、例外的にどちらかにより強い影響を持つ遺伝子のあることが見いだされた(Horiguchi et al.2011)。 (3)arrest front後の制御機構 ゼニゴケのANホモログはシロイヌナズナan-1変異体を相補できるが、核局在シグナルを保有しないことが判明した。そこで、ANの既知のドメインに変異を導入したところ、そのいずれも形態形成制御には必須でないことが判明し、またANはトランスゴルジネットワークに局在することが判明した(Minamisawa et al.,2011)。 (4)shootを葉のように変形する分子機構 アスパラガス属植物が作る、葉に酷似した特殊な器官・仮葉枝を解析した結果、これが側枝の変形した器官であること、この原基ではSAM関連遺伝子のみならず、葉形態形成に関わる遺伝子群の一部が異所的に発現していること、葉のように分裂組織が器官の基部側に位置していること等が判明した(Nakayama et al.,2012)。
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