研究領域 | 植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系 |
研究課題/領域番号 |
19060003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 泰則 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特任教授 (80175596)
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研究分担者 |
町田 千代子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (70314060)
高橋 広夫 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30454367)
岩崎 行玄 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (20193732)
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キーワード | 葉の発生分化 / miRNA / 遺伝子発現制御 / 葉の左右相称性 / 葉の表裏 / DNAメチル化 / 細胞分裂周期 |
研究概要 |
1.AS1とAS2が制御する遺伝子の解析:発現アレイ解析とChIP-on-chip解析により、EIT/ARF3とARF4がAS1とAS2の直接標的遺伝子であることが示されていたが、ett arf4変異体を用いた遺伝学的解析により、これらが確かに下流に位置していることを証明した。これらのAREsは葉の多くの形態形成と細胞の分化状態に関わっていることもわかった。ARFsの下流因子の候補を同定した。 2.AS2の核小体近傍顆粒(AS2 bodv)への局在の仕組み:タバコBY-2細胞では、AS2 bodyは主に細胞周期のM期の細胞で見られ、核分裂と共役して分配された。AS2 bodyは、間期には少数の細胞でのみ見られた。AS2 body形成は、N末端近傍の複数の配列により正と負に調節されている。シロイヌナズナの植物個体でも、AS2 bodyはM期の細胞で、高頻度に観察された。 3.as2あるいはas1変異背景において向軸側化に必要な因子の解明:as2やas1変異背景の下で、向軸側化に関わっている因子が多種類同定されているが、それらを、遺伝学とChemical Biologyにより分類した。その結果、(1)ARFs関連の小分子RNA形成因子、(2)リボソームなどの核小体関連因子、(3)細胞周期S-G2関連因子、(4)DNA二重鎖切断・修復に関連する因子の4種類に大別された。 4.細胞分裂・細胞分化の制御:AS2はリン酸化され、量的制御を受けているらしい。複数のMAP65分子種がMAPKの標的であり、分裂と分化を制御しているらしい。 5.イネの細胞分製・細胞伸長:3量体Gタンパク質βサブユニットが細胞数を正に制御する因子であることを見出した。また、Ctチューブリン遺伝子が欠失した変異体,srs5では、葉鞘や節間などの器官長が減少し、その原因は、細胞長の減少であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した研究は、計画通りに進展した。しかし、AS2 bodyが細胞周期の進行に従って娘細胞に分配されていくという、驚くべき結果が出てきた。これは、まったく予期していなかった結果であり、AS2蛋白質の機能的理解にとって重要な貢献をすると期待される。また、AS2の下流にあるETT/ARF3,ARF4のさらに下流の因子まで同定でき、それらの中には細胞分裂のキー制御因子がるという、驚くべき結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの計画に変更はないが、AS2 bodyについては、分配の仕組みの研究と遺伝子抑制における役割の解明の研究を追加する計画である。
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