研究概要 |
高等植物の根系構築の基礎となる根端メリステムの発生機構を解明することを目的として、1) オーキシン応答転写因子ARFs, Aux/IAAs, オーキシン誘導性LBD/ASLタンパク質などを介した側根形成開始の分子カスケードの解析、および、2) 側根メリステム形成・維持の分子機構の解析を行い、以下の成果を得た。(1) シロイヌナズナにおけるLBD16/ASL16を介した側根形成の分子カスケードを明らかにする目的で、arf7ar19二重変異体の側根形成能をデキサメタゾン依存的に回復させるLBD16過剰発現体を用いて、マイクロアレイ解析によるLBD16の下流遺伝子の探索を行った。本年度は、ARF7, LBD16によって正に制御され、かつslr変異によって負に制御される遺伝子として同定した11遺伝子について発現解析を進めた。その結果、側根形成開始部位で特異的に発現するLBD16標的遺伝子として、植物に特有なモチーフを含む機能未知タンパク質などを同定した。(2) 側根メリステムの維持に欠損のある新奇変異体LR11-4に関して表現型解析を行い、マッピングによる原因遺伝子の同定作業を進めた。その結果、LR11-4の原因遺伝子がカルビン回路や糖代謝で働くプラスチド局在酵素をコードすることが強く示唆された。(3) 側根形成能が顕著に低下する新たな変異体を単離しfewer roots(fwr)と命名して解析を行った。その結果、fwrの主根では、オーキシンによる側根形成誘導能が低下することを示した。また精密マッピングにより原因遺伝子候補を同定した。
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