研究概要 |
1,オーキシンの極性を持った分布の構築機構の解析;オーキシンの偏差分布がSAMからの器官形成で重要な働きをし、オーキシン細胞外排出タンパク質PIN、その調節に関与するキナーゼPIDがこれに関与する。我々はpidのエンハンサータンパク質MAB2とMAB4,さらにMAB4ファミリーのMEL1~4の解析を行った。本年度はmab4 mel1 mel2三重変異体が花序分裂組織からの器官形成に重篤な異常を示してピン状の花茎を形成する事、器官予定領域においてPIN1タンパク質の存在量が低下し、さらに基底方向へのPIN1極性が失われている事、オーキシン応答性マーカー遺伝子DR5rev::GFPが三重変異体において分裂組織のL1層において広がっている事、monopteros(mp)変異体の茎頂分裂組織においてMAB4ファミリー遺伝子の発現が著しく低下している事を明らかにした。これらの結果は、MP依存的オーキシン応答により発現誘導されたMAB4ファミリー遺伝子が、基底方向へのPIN1極性を確立し、花序分裂組織内のオーキシン偏差分布を形成することを示唆している。さらに、側根形成において、mab2-1変異がオーキシン非感受性変異体slr-1liaa14の側根形成不全の表現型を抑圧すること、MAB2が側根形成時にLBD16及びLBD29の発現をIAA14と協調して負に制御している可能性が示唆された。 2,茎頂メリステム形成形成と維持の分子機構の解明:茎頂分裂組織の活性低下と腋生分裂組織の過剰生成するuni-1D変異体(NB-LRR型因子の機能獲得型変異)のサプレッサー変異の一つとしてerectaを単離し、メリステムでの機能とは別に、維管束の分裂組織の制御においてもERECTAファミリーが機能を持つことを見いだした。また、獲得済みのuni-1Dのサプレッサー変異体のなかで、原因遺伝子が未同定であったものを題材に次世代シークエンサーを用いた原因変異同定を試みた結果、バッククロスやラフマッピングを経ずに連鎖解析とSNP解析を同時に行う手法で原因変異の同定に成功した。
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