研究領域 | 植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系 |
研究課題/領域番号 |
19060007
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田坂 昌生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90179680)
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研究分担者 |
打田 直行 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40467692)
古谷 将彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (10432593)
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キーワード | オーキシン / MAB4 / MAB2 / ERECTA / EPFL4 / EPFL6 / 幹細胞 |
研究概要 |
1,オーキシンの極性を持った分布の構築機構の解析;オーキシンの偏差分布にオーキシン細胞外排出タンパク質PIN、その調節に関与するキナーゼPIDが関与する。我々はpidのエンハンサータンパク質MAB2とMAB4、さらにMAB4と相同性の高いMEL1~4の解析を行った。その結果、MAB4ファミリー遺伝子が器官原基中央領域に蓄積したオーキシンを下方に流し落とす過程で機能し、しかもオーキシンに応答して発現すること、メデイエーターの一員であるMAB2が側根原基の形成に必要なオーキシン依存的な内鞘細胞の分裂において、HDAC などのクロマチン再構成因子と同じ経路で働き、さらにIAAのco-repressorとして知られるTPL(Top less)と相互互作用することがわかった。 2,茎頂メリステム形成と維持の分子機構の解明;(1)内皮細胞から分泌されるEPFL型ペプチド(EPFL4,6)が篩部伴細胞でERECTA受容体に受容されるという内皮・篩部コミュニケーションが花序の形態制御機構で機能することを明らかにした。現在は、篩部での受容体の活性化後に実際に花序の形態が変化するまでの機序を解析している。(2)ERECTA ファミリー受容体群が、茎頂でのサイトカイニンによる幹細胞制御に機能冗長的に関わる知見を得た。現在、その際にERECTAファミリーに作用するリガンドの同定を含む分子機序の解析を進めている。(3)維管束(前)形成層の制御に4タイプのペプチド・受容体ペアが協調して働く知見を遺伝学的解析とペプチド投与実験から得た。このうち2つのペアについてはペプチド・受容体ともに把握している(1つは既知のTDIF-TDRペア)が、残りの2つのペアについては、1つはリガンドのみ、もう1つは受容体のみしか把握していないので、現・在未解明の部分の追求を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オーキシンの期間形成で機能する極性輸送の分子機構の概要が明らかになり、オーキシンが転写調節を行う時の分子機構もかなり明確になってきた。茎が伸長する時の分子スイッチメカニズムが明らかになり、細胞間コミニケーションの実態が明確になってきた。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの現象を分子レベルで詳細に調べるとともに、MAB4タンパク質が細胞膜に局在するメカニズムの解明を目指す。また。MAB2と遺伝子発現のエピジェネチックな制御との関連を明らかにする。ERECTAと幹細胞の生成、維持機構の分子実態の解明を行うとともの、このレセプターキナーゼが関与する他の発生生物学的に重要なイベントの解明もめざす。
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