研究概要 |
1,オーキシンの極性を持った分布の構築機構の解析;高等植物の器官形成過程は2つの素過程で構成される。器官予定領域の中心にオーキシンが蓄積する初期過程と、器官原基中央領域に蓄積したオーキシンを下方に流し落とす過程である。MAB4ファミリー遺伝子が2つ目の素過程において中心的な役割を果たすことを明らかにした。さらに、2つ目の素過程はオーキシンに応答してMAB4ファミリー遺伝子が発現誘導されることで開始することが示唆された。また、側根原基の形成に必要なオーキシン依存的な内鞘細胞の分裂において、メデイエーターの一員であるMAB2はHDACなどのクロマチン再構成因子と同じ経路で機能していること、MAB2がTPLタンパク質の安定性の制御を通して、IAA14によるARF7/19の活性化の抑制に寄与している可能性を示唆した。 2,茎頂メリステム形成と維持の分子機構の解明;(1)内皮細胞から分泌されるEPFL型ペプチドが篩部伴細胞でERECTA受容体に受容されるという内皮・筋部コミュニケーションが花序の形態制御機構で機能することを明らかにした。(2)ERECTAファミリー受容体群が、茎頂でのサイトカイニンによる幹細胞制御に機能冗長的に関わる知見を得た。(3)維管束(前)形成層の制御に4タイプのペプチド・受容体ペアが協調して働く知見を遺伝学的解析とペプチド投与実験から得た。
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