計画研究
維管束形成には様々な転写因子が鍵遺伝子として働いている。このうち、本年度は、分化に関連するbHLH転写因子およびそのパラログについて研究を進めた。その結果、このbHLH転写因子遺伝子は、胚では維管束組織形成に先立ち発現し、維管束前駆細胞の初期分裂を制御することが明らかとなった。また、側根においても、同様の働きをすることが明らかとなった。また、オーキシンの輸送タンパク質、オーキシンシグナルのターゲットとなる転写因子との関連性を解析した結果、この転写因子は局所的なオーキシンの誘導とそれに続くオーキシンシグナル系の抑制、さらにはオーキシンの運河化を制御する因子であることが示された。その結果として、維管束初期細胞の分裂及びその増加を制御し、維管束の発生初期に働くことが示唆された。また、3種のホモログ遺伝子も維管束で働き、その2重突然変異体がより重篤な表現型を示すことから、パラログ遺伝子も維管束形成に重要な働きをすることが明らかとなった。また、別の転写因子である、WOX4が前形成細胞の分裂促進に対して、中心的役割を果たすことを明らかにしてきた。本年度は、誘導型縦4遺伝子およびWUS遺伝子をもつシロイヌナズナ培養細胞を作出し、これを用いて、エストロジェンにより遺伝子を誘導し、その下流で発現あるいは抑制される遺伝子のプロファイルを、マイクロアレイで詳細に解析した。その結果、WOX4とWUSは共通の遺伝子とともに、それぞれ固有の遺伝子発現の促進・抑制を引き起こすことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本年度予定した研究はおおむね順調に進行した。とくに今年度重要と位置づけた転写因子解析により、維管束分化における転写因子の働きが明確になったため。
今後の課題は、bHLHタイプの転写因子がオーキシンシグナル系を活性化しているのか、オーキシン合成系を活性化しているのかを解明することが、重要であると考える。
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