計画研究
私たちは、これまでに維管束の形成に関わる様々な因子を単離同定してきた。本研究においては、これら因子の生体内での機能と因子間の相互作用を分子レベルで明らかにすることにより、維管束系の形成機構の解明を目指した。本年度はまず、維管束のパターン形成の初期に働くLHWについて、オーキシンとの関連でさらに解析を進めた。その結果、LHWは、MP,ATHB8,PIN1などの遺伝子を速やかに誘導すること、DR5などのオーキシン極大を示すマーカーの過剰蓄積を誘導するが、オーキシン量そのものの増加は誘導しないことが分かった。また、lhw突然変異体ではPIN1の分布が幅広くなることが明らかになった。他の結果も総合して、LHWはオーキシンcanalizationを誘導ないし促進する因子であると考えられた。昨年までに、二次細胞壁パターンを制御する微小管結合タンパク質MDD1を見いだしてきた。本年度は、昨年度同定したMDD1結合タンパク質とその制御因子を用いて、二次細胞壁の2次元パターンを決める細胞膜パターン制御機構を解析した。その結果、MIDD1は活性型ROP11と相互作用することにより自発的に膜パターンを作り出すことが明らかとなった。さらに、昨年度に引き続き、シロイヌナズナ篩部系の確立とこれを用いた篩部分化過程の解析を行った。特に、複数の節部マーカーを使って解析し、この分化系ではすべての節部細胞が誘導されるわけではなく、特定の篩部細胞が誘導されることが明らかとなった。
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