計画研究
発現誘導後のFT蛋白質の輸送や下流の事象(SOC1遺伝子やAP1遺伝子などの転写活性化)のタイムコースの解析をほぼ終えた。輸送の可視化に関しては、iLOVドメインを用いた系が難航している。誘導後に融合タンパク質が蓄積していることはウエスタンブロットにより確認できたが、予想外に蛍光が弱く、植物個体における利用には不向きであるという結論に達しつつある。FT蛋白質の茎頂への移動に重要なアミノ酸残基の探索を進め、約50箇所から2つの候補を得た。SULTR1;3::FT;ft-1を親株にして相補が失われた抑圧変異体が、gFT::GUSを親株にして発現パターンの異常を示す変異体が得られた。既知の花成遅延変異について、東京大・米田研究室との共同研究を継続している。FT蛋白質とbZIP転写因子FD、14-3-3蛋白質の蛋白質間相互作用の解析のために、それぞれの蛋白質の発現系を確立した。相互作用の検証に進む予定である。名古屋大・町田研究室との共同研究により、FD蛋白質のリン酸化の実証とリン酸化酵素の探索・解析を進めている。C末の約20アミノ酸残基を含むペプチドを用いてT282が茎頂抽出物中のカルシウム依存性のキナーゼ活性によりリン酸化されることを確認した。2つのライブラリを用いて、シロイヌナズナの1500個ある転写因子すべてについて、酵母細胞内におけるFT蛋白質との相互作用の検証を進めている。これまで着目してきたTCP転写因子に加えて、いくつかの興味深い相互作用因子候補が得られている(UCSD・S.Kay研および産総研・高木研との共同研究)。転写メディエータのMed12/CRPおよびMed13/MAB2についての解析はほぼ完了した(奈良先端大・田坂研との共同研究)。FT蛋白質とTFL1蛋白質の相反的な作用の一部がFD蛋白質との相互作用を介したものであることを明らかにした。
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Tree Physiology
巻: 30 ページ: 431-439
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/plantdevbio/res_top.html