計画研究
本年度は、主に以下の6点の成果を得た。(1)FT蛋白質の茎頂への移動に重要なアミノ酸残基の探索については、輸送能欠損変異候補3種と花成促進能欠損変異候補1種を中心に再現性の確認をおこなった。また、葉身でFT蛋白質の発現を誘導した後の下流遺伝子め転写活性化について再試を行い、論文と、してまとめる準備を整えた。(2)シロイヌナズナのB種ある14-3-3蛋白質について解析を進め、FT蛋白質、FD蛋白質と相互作用能を持つアイソフォームを特定した。機能欠損変異体の花成関連表現型の探索と多重変異体の作出を進めている。(3)FD蛋白質のC4ドメインのリン酸化に関しては、リン酸化されるために重要な残基を見いだすとともに、14-3-3蛋白質との結合にリン酸化が必須であることを確認した。リン酸化酵素の同定に向けて、候補CDPKの解析を進めている。(4)シロイヌナズナの1500個ある転写因子すべてについて、酵母細胞内における相互作用の検討(UCSD・S.Kay研および産総研・高木研との共同研究)を進めた。14-3-3蛋白質との相互作用能を欠く変異型FT蛋白質を用いて、相互作用の14-3-3蛋白質依存性の有無を検討した。(5)BRC1/TCP18、BRC2/TCP12との相互作用を通してFT蛋白質が花成に伴う側枝の伸長や相転換の調節に関わる可能性を多重変異体の表現型解析などにより検証した。変異体とHSP::FT-T7;ftを用いた解析から、FTおよびTSFが花成後の側枝伸長の促進に関わることを見いだした。花成の場合とは対照的に、側枝伸長の促進においては、TSFの相対的な寄与が大きいことが明らかになった。(6)CRP/MED12を通して花成制御における転写メディエータの役割を解析した成果をまとめた。CRP/MED12がフロリゲンの産生と作用過程に複数の作用点をもつ新規の花成調節因子であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
成果公表(論文発表)がやや遅れているが、研究自体はおおむね順調に結果が得られているため。
平成24年度は最終年度に当たる。研究計画に変更はなく、期間内に主要な成果について公表(論文発表)を完了もしくはその目処をつけることを念頭において、今年度までの成果をもとに、茎頂メリステムにおける転写ネットワークの調節因子という観点からFT蛋白質の機能を明らかにすることを軸に、当初の計画の3つの課題について研究を進める。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (15件)
Plant & Cell Physiology
巻: Vol.53、No.2 ページ: 287-303
DOI:10.1093/pcp/pcs002
Plant Journal
巻: 69 ページ: 116-125
0.1111/j.1365-313X.2011.04776.x