研究概要 |
ddm1突然変異下でのBONSAI遺伝子のメチル化上昇に必要な因子を知るため、既知の突然変異体との多重突然変異体をつくり、数世代を経た後のBONSAI遺伝子のメチル化を調べている。今年度に用いた突然変異は、DNAメチル化酵素MET1,CMT3,DRM2、ヒストン修飾酵素遺伝子であるKYP/SUVH4,RNAi関連遺伝子である、DCL3,DCL2,AGO4,RDR2,RDR6,Po1IVである。多重突然変異体を作製し、現在は自殖を繰り返している。 これら既知の遺伝子の突然変異体を利用する研究に加えて、BONSAI遺伝子座のメチル化が上昇する新たな突然変異体を選抜した。得られた突然変異の一つであるibm1(increase in BONSAI methylation)の原因遺伝子は、ヒストンのメチル化を負に制御すると思われる因子をコードしていた。また、この突然変異体は、矮性表現型だけでなく、葉の形態異常や稔性低下の表現型を示した。ibm1突然変異体におけるBONSAI遺伝子のメチル化や発生異常は、H3K9メチル化酵素遺伝子KRYPTONITEや非CGメチル化酵素遺伝子CMT3の突然異でサプレスされた。このことから、ibm1突然変異体では、本来は存在しない場所にH3K9メチル化やDNAメチル化が起こることによって、上記の発生異常が誘発されると解釈された。奇妙なことに、ibm1による発生異常は、ddm1突然変異によってエンハンスされた。DDM1遺伝子は、反復配列のDNAメチル化に必要なだけでなく、BONSAIなどの低コピー配列がメチル化されないようにする機能も持つのかもしれない。
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