研究概要 |
DNA低メチル化突然変異ddml(decrease in DNA methylation)は他の遺伝子座をエピジェネティックに変化させることにより、種々の発生異常を誘発する。このうち、メリステムの発生異常形質bonsaiの原因遺伝子は、ゲノム全体のメチル化が低下する条件下でメチル化レベルが上昇し、発現が抑制される。本研究は、BONSAI遺伝子など、エピジェネティックな制御を受ける遺伝子によるメリステム制御の機構を知ることを目的とする。本年度は以下の成果があった。 (1) ddml下でのBONSAI遺伝子のメチル化上昇に必要な因子を知るため、既知の変異体との多重変異をつくり、数世代を経た後のBONSAI遺伝子のメチル化を調べた。その結果、DNAメチル化に関与することが知られている既知のRNAi因子は不要で、ヒストンH3K9のメチル化因子が必要であることがわかった(論文準備中)。 (2) 抗メチルシトシン抗体で免疫沈降したゲノムDNAを用いたタイリングアレイ解析により、BONSAI以外にもddml下でメチル化の上昇する配列を複数同定した(論文準備中)。 (3) 同様の解析により、遺伝子のメチル化を負に制御するjmjC遺伝子IBM1(increase in BONSAI methylation 1)の突然変異に影響される遺伝子を同定した(Miura, et.al, EMBO J, in press)。
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