(1)BONSAI遺伝子のメチル化が上昇する突然変異体を選抜することにより新奇のピストン脱メチル化酵素遺伝子IBM1(increase in BONSAI methylation 1)を同定し、前年度までに、ibm1による発生異常を抑圧する変異体を単離している。この変異体ではゲノムDNAメチル化のパターンはibm1単独変異体とほとんど変わらず、さらにヒストンH3K9メチル化(H3Kgme)をゲノムワイドに調べたところ、やはりibm1単独変異体とほとんど変わらないことがわかった。現在、他のピストン修飾についてもゲノムワイドに調べている。(2)ibm1による発生異常やH3K9me上昇は次世代には継承されない。また、興味深いことに、ibmによる発生異常は、変異がホモになった当代よりも次世代で顕著に観察される。全ゲノムでのバイサルファイト解析を行った結果、DNAメチル化の上昇が、当代と比べて後代で大きく上昇していることがわかった(未発表)。発生の特定の段階でヒストン脱メチル化がおこると推察される。また、ibmlとddm1との二重変異体でも発生異常が強くなるが、この場合もibm1単独変異と比べてDNAメチル化が上昇していることがわかった。(3)ddm1変異体下におけるBONSAI遺伝子のメチル化上昇にはRNAi因子が不要であることを前年度までに示している(Saze&Kakutani 2007 EMBO J;Sasaki et al 2012 Plant J)。今年度は、自殖を繰り返したddm1を材料に全ゲノムバイサルファイト解析を行い、自殖にともなうメチル化の低下や上昇について知ることができた。
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