研究領域 | 細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生 |
研究課題/領域番号 |
19H05672
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚谷 裕一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90260512)
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研究分担者 |
堀口 吾朗 立教大学, 理学部, 教授 (70342847)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 葉原基 / エボデボ / 細胞分裂動態 / 数理解析 / 輪郭形状 |
研究実績の概要 |
pulse-chase EdU法で葉原基の細胞分裂領域で検出される娘核のセットを、画像情報解析支援班の近藤とともに開発した数理手法により自動抽出することに成功した。ちょうど、イグサ属コウガイゼキショウにおける細胞分裂動態の記載を進めたところ(Yin and Tsukaya 2019)なので、これをさらに改良し、迅速な細胞分裂頻度・角度の自動解析ツールとしていく。 葉の光環境として強光・弱光を比較し、葉原基における細胞分裂と細胞伸長の仮定が大きく異なることを見いだし、それが青色光及びsucroseの影響下にあることを公刊した(Hoshino et al, 2019)。 また3次元的に不規則な形状を示す変異体の解析を、定量性をもって扱う手法として、micro CTで取得した画像を数理的に扱う手法を考案し、公刊した(Furuya et al., 2019) シロイヌナズナで葉の二次元平面成長を司るANGUSTIFOLIA (AN)については、ヒメツリガネゴケには3コピーあること、そのうち2コピーが全長にわたり類似していて、機能をシロイヌナズナとの間で保存している一方、被子植物とは違う機能を有していることを見いだし、公刊した(Hashida et al,. 2019)。 さらにアリ植物Callicarpa saccataの、葉身の基部にできる特異な袋状構造について、その発生過程を明らかとし、形態学的な特性を記述し公刊した(Sarath et al.2019)。 水陸両用植物のミズハコベについては、その異形葉性の発生過程の記述、輪郭形状と細胞動態の関係、またそれぞれの環境下でのRNAseq解析が順調に進んだ。異例な無限葉を形成するモノフィレア、またグアレアについてもそれぞれ研究基盤が整備できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初見込みのなかで大きな課題と考えていた数理的手法の取り込みが、想定以上に順調に進んだ。 また非モデル植物であるコウガイゼキショウ、ミズハコベ、Callicarpa saccata、モノフィレア、そしてグアレアといった種群について、それぞれ発生学的解析基盤が整った。とくにミズハコベとモノフィレアではRNAseqデータの取得が進んだことと、whole mount in situが可能となったことで、飛躍的進展が期待できる。 加えて論文としての公刊も順次進んでおり、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、非モデル植物の種群について、研究基盤が順調に進んだので、当初予定通りに研究を推進していく。ここに、モデル植物のシロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケ、ゼニゴケを使った研究の利点も組み合わせる。また新学術領域の公募班活動が本格スタートするので、支援班共々、班員の得意分野を活かした共同研究を本格化する。
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