計画研究
本研究では数理的手法を用い、植物形態形成に対して、(1) 生体分子ダイナミクスと、(2) 細胞メカニクスの2つの階層から、周期性を創出するメカニズムとその変調がもたらす効果の解明に迫る。これまでに開発した構造理論を発展させ、(i) 周期的振る舞いが現れるための生体分子相互作用の条件および、周期性やその変調が器官形態にもたらす効果を数理的に決定する。さらに、これらを用いて、(ii) 領域内の実験グループとの共同研究を推進し、植物形態形成でみられる様々な振動現象のメカニズムを予測検証的に解明する。2023年度は、葉の形態形成とその多様性を、細胞レベルの振る舞いから解明することを目指して、実験と数理を組み合わせた研究を進めた。花弁のようなシンプルな形態から段階的に複雑な形態を対象にし、同時に数理モデルに取り込む要素を段階的に複雑化することで、各パターン形成に必要な条件を定める戦略を用いた。特に、葉の境界が外向きに凹となる領域を持つ、ナンキンハゼに注目している。これまでに「細胞分裂様式が先端部と基部で異なっている」とするBi-region modelについて解析を進め、分裂方向の制御により外向きに凹となる形態が実現できる一方で、分裂頻度の制御では実現できない結果が得られている。さらに「分裂領域が基部から一定の範囲に限られる」とするArrest front modelについて、解析を進めた。Arrest frontが存在することで、時間とともに組織全体の形が大きく変化するが、そのタイミングは特定のパラメータの比によって統一的に捉えられることが分かった。さらに分裂領域における分裂方向の制御を取り込むことで、外向きに凹となる領域が実現できる。多くのパラメータを含むモデルであるが、その挙動を単純な理解に落とし込むことができた。これらの結果を学術論文にまとめている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (2件) 産業財産権 (2件)
Biophysics and Physicobiology
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https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-01-04
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-02-02-1