研究領域 | 超地球生命体を解き明かすポストコッホ機能生態学 |
研究課題/領域番号 |
19H05680
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々 文洋 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (30722681)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 微生物 / マイクロフルイディックデバイス / BioMEMS / ポストコッホ / 組み合わせ培養 |
研究実績の概要 |
本研究では微生物を培養・機能解析する分析サイズを手作業の限界ではなく、培養デバイスの物理・化学的限界および微生物の生育の限界を基 準に設計することで、1 回の実験操作で1デバイスあたり数10万から数100万単位の独立した同時培養および単菌または数菌体レベルの 相互作 用の分析を可能とするアレイ型の新規培養デバイスを構築する。これら「独立した極微小環境中での培養・分析」およびそのアレイ化技術の開 発を通し、サイズに 依存しない純粋な生育応答と微生物間相互作用情報を取得し、分離されたそれぞれの微生物に独立し た培養環境を与える ことで生育速度による競合を取り除くとともに、微生物の分離・培養・分析をハイスループット化、また個々の微生物集団間の相互作用を一括 して解析するためのポストコッホ型の微生物培養・分析のプラットホームを構築する。 R1年度では、本計画の基礎となる、プロトタイプとなるデバイスと分離・評価手順の構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マイクロデバイス操作を専門としない研究者が再現性よく培養・分離・分析可能な容易に扱える操作手順とデバイス設計を行った。材料にはおーとくれぶ処理可能な耐熱ガラス製デバイス及び、使い捨て可能なアクリル樹脂・PET樹脂による量産可能なプロトタイプデバイスを開発した。また、培養評価に関しては他計画班の研究者と協力し、培養・評価法の確立しているモデル微生物を 用いて行った。 耐熱ガラスデバイスにおいては、培養ゲルが下層で接続した共培養アレイデバイスの開発に成功しており、大きな進展を見せた。 また、本年度は本計画の核となる培養センシング技術に関して網羅的探索した結果を編纂し、BioMEMSの権威JournalであるLab on a Chip誌に32ページに及ぶクリティカルレビューとして投稿し採択された。 以上より、本計画は当初の予定以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では、昨年度開発したプロトタイプデバイスをベースに、「ポストコッホ」領域各班の主に扱う様々な環境に生きる微生物と複合微生 物系を培養可能なデバイスを開発する。例えば、土壌中の酸素が届きにくい深度においては通常嫌気性代謝が優勢になる。嫌気性生物を分離・ 培養するための脱酸素の手法を開発し、この環境を再現できるマイクロ培養デバイスを開発する。また、各微生物種が要求する温度や培養期間 などの仕様を満たすゲルチャンバーのサイズ・材質・構造を複数設計・試作する。これらデバイスを用いることで従来発見できなかった新規微 生物種の分離を試み、本デバイスの能力を評価する。なお、このテーマは本年度以降も継続して行っていく。
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