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2019 年度 実績報告書

対話知能システムの研究開発及び社会実装のための法社会規範の研究

計画研究

研究領域人間機械共生社会を目指した対話知能システム学
研究課題/領域番号 19H05694
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

新保 史生  慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20361355)

研究分担者 原田 伸一朗  静岡大学, 情報学部, 准教授 (90547944)
長島 光一  帝京大学, 法学部, 講師 (20787056)
呉羽 真  大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任助教(常勤) (80750215)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2024-03-31
キーワードロボット / AI / 対話メディア / 対話知能 / ELSI / ロボット法
研究実績の概要

新たな対話メディアを実装したロボットの利用に向けて、法的及び倫理的課題について本研究開発対象分野に係る課題の抽出を試みるとともに、AIの利用及び自律ロボットの安全・安心な利用に向けた施策及び制度の検討を行った。また、対話ロボットの社会的受容に必須となる倫理・社会制度の新知見を提示し、新しい社会規範の原則をまとめたロボット法の確立を目指す上での基礎となる研究を実施した。
初年度である2019年度の取り組みの端緒として、法学研究者及び法曹関係者に特化した報告者及び参加者から構成される情報ネットワーク法学会のロボット法研究会を「AI・ロボットの進化に伴う法と倫理の交錯」をテーマに開催し、個別課題の精査が可能な研究体制の構築と研究成果の公表により、政策立案等への専門的知見の直接投入が可能な法学研究環境の構築を目指した。さらに、海外のロースクール生とともに法的課題を議論する場を設けた。
法的側面からの検討は総論的な視点にとどまらず原則策定の取り組みなど具体的な検討がなされている。しかし、原則策定に向けた一連の議論の過程では、法的な議論と倫理的な側面からの検討が交錯し、いずれの観点からも十分な議論がなされているのか定かではないまま原則策定に至っている状況が見受けられる。そのような背景を踏まえて、初年度の研究においては法的な議論と倫理的な議論の双方から昨今のAIをめぐる問題や研究について議論を行う場を設けることを最優先の研究課題として取り組みを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究計画において実施予定の法的課題の検討については、研究計画において示した個別課題の研究にとどまらず今後の提言を行う報告も実施した。具体的には、2019年12月19日に総務省において開催された情報通信法学研究会AI分科会(令和元年度第1回)にて、「AI原則は機能するか?-AI・ロボットを用いることに伴う原則策定の取り組みから法定事項としての位置づけへ-」と題した報告を行った。当該報告の目的は、研究成果の単なる報告ではなく、AI・ロボット技術を含むエマージング・テクノロジー(新興技術)の活用を見据えて必要な対応を推進するための取り組みとして基本法を整備することの必要性を提唱するなど、今後のAI・ロボット技術の研究開発の促進と社会実装における課題の検討の推進を目指す上で嚆矢となる提言を示すことが目的である。
シティミーティングを企画し、目指す知能ロボットや情報メディア開発に関して社会の要望等を調査するとともに、これら個別に検討が必要な課題に対する社会的な検討のニーズを明らかにすることについては、2019年11月12日にペンシルバニア大学ロースクールのEric Feldman教授及びペンシルバニア大学ロースクールの学生14名を招き、「対話ロボットの社会実装と法律問題に関するワークショップ」を開催した。本ワークショップには慶應義塾大学の学生も参加し、「対話知能学」メンバーとともにアンドロイドを社会に普及させるために必要な検討事項について活発な議論がなされた。
2020年2月にはノースイースタン大学にて講義及び講演を行い、日本のAI・ロボット及びデータ保護をめぐる法的環境について報告を行うとともに、研究代表者の新保がノースイースタン大学の客員講師に就任することで、ノースイースタン大学のロボット工学及び法学の研究者との継続的な研究体制を整備した。

今後の研究の推進方策

非拘束的な原則やガイドラインの策定という段階から、普遍的なルール作りを見据えて実効性のある法規範に原則を組み込み機能させるために必要な研究を実施する。
AIの利用をめぐる問題については様々な学問領域で研究や議論がなされる状況となっている。同時に、分野ごとの縦割りの検討では問題の全体状況を把握できないがゆえに、一過的かつ断片的な議論に終始する場面も散見されることから、2020年4月から新たに研究体制に加わる公募班の研究者も含めて、総合的な研究体制の構築を目指す。
次年度も国内外から様々な分野の専門家だけでなく、一般市民を招いたシンポジウムやワークショップを開催してロボットの社会実装をめぐる法的課題について多角的な議論を深めるとともに、社会になじみ実効性のあるルールの提案を進めていく計画である。

  • 研究成果

    (25件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] CLIC/Northeastern University School of Law(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      CLIC/Northeastern University School of Law
  • [雑誌論文] 個人情報保護をめぐる環境変化の沿革と法制度の変遷2020

    • 著者名/発表者名
      新保史生
    • 雑誌名

      情報の科学と技術

      巻: 70(5) ページ: 224-230

    • DOI

      10.18919/jkg.70.5_224

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Importance of `Smooth` Data Usage and the Protection of Privacy in the Age of AI, the IoT and Autonomous Robots2020

    • 著者名/発表者名
      Shimpo Fumio
    • 雑誌名

      Kluwer Law International Global Privacy Law Review

      巻: vol.1 No.1 ページ: 49-54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lethal Autonomous Weapon Systems (LAWS) Confronting the Robot Law Perspectives2020

    • 著者名/発表者名
      SHIMPO Fumio
    • 雑誌名

      IEICE ESS Fundamentals Review

      巻: 13 ページ: 217~230

    • DOI

      10.1587/essfr.13.3_217

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] AI原則は機能するか?2020

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 雑誌名

      情報通信政策研究

      巻: 3 ページ: 53~70

    • DOI

      10.24798/jicp.3.2_53

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地方自治体におけるAI・RPAの利用に伴う業務の効率化への期待と懸念2020

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 雑誌名

      彩の国さいたま人づくり広域連合 彩の国さいたま人づくり広域連合 政策情報誌「Think-ing」

      巻: 第21号 ページ: 35-41

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自律型致死兵器システム(LAWS)に関するロボット法的視点からの考察2020

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 雑誌名

      電子情報通信学会 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ誌(Fundamentals Review:FR)

      巻: 第13巻 第3号 ページ: 217-230

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] キャラクターの氏名権2020

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 雑誌名

      翻訳の文化/文化の翻訳

      巻: 15 ページ: 1-5

  • [雑誌論文] ニセ科学・ニセ医学に対抗するための民事訴訟戦略2020

    • 著者名/発表者名
      長嶋光一
    • 雑誌名

      消費者法ニュース

      巻: 122 ページ: 29-31

  • [雑誌論文] 環境訴訟における検証の意義2020

    • 著者名/発表者名
      長嶋光一
    • 雑誌名

      拓殖大学論集

      巻: 22(2) ページ: 163-184

  • [雑誌論文] 民事手続を題材とする法教育―「ふるさとを返せ津島訴訟」との交流から―」2019

    • 著者名/発表者名
      長嶋光一
    • 雑誌名

      帝京法学

      巻: 31(1) ページ: 1-103

  • [学会発表] How Should Countries Regulate Privacy?2020

    • 著者名/発表者名
      Shimpo Fumio
    • 学会等名
      The Center for Law, Innovation and Creativity (CLIC) at Northeastern University School of Law
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ロボット共生社会に向けた法的課題の検証2020

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      電子情報通信学会 クラウドネットワークロボット研究会 (CNR)
    • 招待講演
  • [学会発表] AI・自律型ロボットの進化に伴う法的課題の総覧2020

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      日本情報経営学会 「AI人工物の監理」研究プロジェクト研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] データ移転をめぐる国内外における制度的枠組みの構図2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      日本安全保障貿易学会(JAIST)
    • 招待講演
  • [学会発表] 医療保障におけるイノベーションと AI の活用をめぐる法的課題2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      第25回 医療経済研究機構シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] AI・ロボットの進化に伴う法と倫理の交錯2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      2019年情報ネットワーク法学会研究大会第1分科会
  • [学会発表] 対話ロボットの社会実装と法律問題2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      新学術領域研究「人間機械共生社会を目指した対話知能システム学」第1回ワークショップ
  • [学会発表] AIと安全保障における新局面 - 自律型兵器の国際的規制に向けた取り組みを中心に -2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      情報法制学会 第3回研究大会
  • [学会発表] AI原則は機能するか? - AI・ロボットを用いることに伴う原則策定の取り組みから法定事項としての位置づけへ -2019

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      情報通信法学研究会 AI分科会(令和元年度第1回)
  • [学会発表] バーチャルYouTuberの人格権および著作者人格権2019

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      情報ネットワーク法学会第19回研究大会
  • [学会発表] システム開発紛争から見た電子カルテの法的課題2019

    • 著者名/発表者名
      長嶋光一
    • 学会等名
      日本医事法学会
  • [学会発表] コミュニケーションにまつわるロボットの倫理的・社会的問題2019

    • 著者名/発表者名
      呉羽真
    • 学会等名
      2019年情報ネットワーク法学会研究大会第1分科会
  • [備考] 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学

    • URL

      https://www.commu-ai.org/

  • [学会・シンポジウム開催] Communicative Intelligent Systems and Related Legal Issues Workshop2019

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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