研究領域 | 人間機械共生社会を目指した対話知能システム学 |
研究課題/領域番号 |
19H05694
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新保 史生 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20361355)
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研究分担者 |
原田 伸一朗 静岡大学, 情報学部, 准教授 (90547944)
長島 光一 帝京大学, 法学部, 講師 (20787056)
呉羽 真 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任助教(常勤) (80750215)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | ロボット / AI / 対話メディア / 対話知能 / ELSI / ロボット法 |
研究実績の概要 |
各国の研究者をはじめとするステークホルダーとの意見交換を行い、研究成果の報告や国際会議での議論によりイニシアティブ獲得に必要なロボット法の礎を築くことを目指すことや、国際機関へのルール形成のための取り組みの必要性を提唱するとともに、国際標準となり得る基本理念や原則の定立を目指していた。ところが、コロナウイルス感染症拡大に伴い国内外の会議開催及び参加機会を著しく喪失し、当初予定していた研究活動を遂行することができない局面が生じた。 対面による活発な意見交換に基づく研究活動が制約される一方で、オンライン環境による研究活動としてA04班人間機械社会規範研究グループとしての研究報告及び議論の機会を複数回設けることができた。本グループは、対話ロボットの社会的受容に必須となる倫理・社会制度の新知見を提示し、新しい社会規範の原則をまとめたロボット法の確立を目指しているため、市民参加型のイベントを実施することで社会的受容性に係る課題の検討を実施している。参加型のタウンミーティングを開催し、広く一般市民とロボットと共生する社会の規範について考える企画を行う予定であった。ところがコロナ禍により集客イベントが行えなくなったため、日本科学未来館の協力を得て、Youtubeライブによるトークイベントを開催した。また、マルチメディア振興センターと共催のワークショップも開催することができた。 トークイベントでは、一般参加の聴衆が自由にコメントを述べ質問をするなど、インタラクティブで活発な議論がなされた。一般参加者には幅広い年齢層の参加者かつ専門性も多様であり、幅広い層の参加者同士の意見交換もなされていた。少し先の未来に確実に起こりうる法律問題に光を当て、わかりやすく解説し、さらに様々な立場の人々が考え意見を交換する機会を提供することができ、人間機械共生社会における社会規範の醸成に寄与したと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の実施内容として、①ELSIのように抽象的に検討が必要な課題の提示にとどまらず、エビデンスに基づく研究成果の公表と、エビデンスとなり得る研究、分野横断的に汎用的に適用・活用可能な研究成果としての認知、社会の具体的な問題の解決を通じた新しい社会的・公共的価値の創出のために実現可能な研究の方法論の探索、②間接的な影響ではなく、政策の検討・提案・決定への直接的な成果の反映、研究組織や研究コミュニティ形成のあり方の研究、③シティミーティングの実施によるステークホルダーからのフィードバックに基づく研究、④対外的に研究プロジェクトの意義及び対話知能を活用した社会における諸課題を包括的、総合的に研究する成果を公表、⑤総合的かつ包括的な論点整理や問題点の確認を実施することで、検討が必要な課題を体系的に整理を実施した。 到達目標については、①個別検討課題の研究の実施、②ワークショップやシンポジウム等開催による研究者との討議・情報発信、③国際的イニシアティブ獲得のための活動(国外の大学・研究機関との研究協力体制の整備)、④第4次産業革命に向けた研究及び施策提言の中核的な役割を担っている国外の研究者との共働により、本研究成果を報告するとともに、相互の研究協力体制を確立、⑤個別事例の単なる分析や断片的な問題把握にとどまることがないように、総合的かつ包括的な論点整理や問題点の確認を実施し当該研究の完了を目指す、⑥法学研究者及び法曹関係者に特化した報告者及び参加者から構成される情報ネットワーク法学会のロボット法研究会の開催により、個別課題の精査が可能な研究体制の構築と研究成果の公表により、政策立案等への専門的知見の直接投入が可能な法学研究環境の構築を目指すという目標を設定していたが、これらの目標については、当初予定していた研究活動を遂行することができない局面が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
対話知能学における法・倫理原則について、日本政府がAI利用に関して定めた基本ルール(原則)とアシモフのロボット三原則の対応関係を確認した上で、新たなロボット原則では,現在のAI技術における原則ではなく、将来ロボットがより人間に近い機能を持つようになったときの原則の検討を行う。また、法・倫理原則の検討実施方法として、公募班の研究者との連携により、将来にわたって汎用的な原則となりうるものを模索する「アシモフを超えろ!プロジェクト」を実施予定。 対話知能学における法令遵守実施手順の策定に向けた研究を実施する。A01-A03班との連携による具体的な実施事項として、日本科学未来館と対話知能学プロジェクトを定期的に開催し、一般の参加者に対話知能学の研究内容の詳細を解説し意見を聴取することで社会的受容性の検討も実施する。そのために、各研究班との連携により、引き続き日本科学未来館の協力を得てオンラインでのトークイベントを開催する。
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