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2022 年度 実績報告書

対話知能システムの研究開発及び社会実装のための法社会規範の研究

計画研究

研究領域人間機械共生社会を目指した対話知能システム学
研究課題/領域番号 19H05694
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

新保 史生  慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20361355)

研究分担者 長島 光一  帝京大学, 法学部, 講師 (20787056)
呉羽 真  山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80750215)
原田 伸一朗  静岡大学, 情報学部, 准教授 (90547944)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2024-03-31
キーワードロボット / AI / 対話メディア / 対話知能 / ELSI / ロボット法
研究実績の概要

研究実績として、(1)法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験の実施、(2)法律を守り、守らせる対話知能ロボットの提案、(3)法律を守らせるための対話ロボットの動作の検証、(4)噂話をするロボットにおける情報の取扱いについて研究を実施した。
対話知能学における法令遵守実施手順の策定については、A01-A03班との連携による具体的な実施事項として、日本科学未来館と対話知能学プロジェクトを定期的に開催し、一般の参加者に対話知能学の研究内容の詳細を解説し意見を聴取することで社会的受容性の検討を実施した。各研究班との連携により、日本科学未来館の協力を得てトークイベントを5回開催し、他グループの研究者の研究報告をベースに、法的、倫理的な問題について一般市民を交えた議論を重ねている。加えて、実証実験に参加した市民とシティミーティングを企画した。対話知能学の各グループから研究者が参加し、小学生から大人までの幅広い立場や年齢層の市民と、ロボットと暮らす未来について活発な議論がなされた。
各回におけるシティミーティングを通じた成果としては、ロボットの主観的意見の違和感の原因はなにか、価値観をすり合わせ、ロボットと対話することは可能かという観点からの検討(第11回)、人間もロボットに配慮したり気を使うというロボットリテラシーが必要な社会になるかという観点(第12回)、技術面だけではなく精神面も併せてAIと「切磋琢磨」することができるといえるかといった話題で一般市民の方々と議論(第13回)、社会性による、「見て見ぬふり」の判断が、今後ロボットにも重要であることや一般市民とどんな場面での見て見ぬ振りをロボットにしてほしいか等の議論(第14回)など様々な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「1 法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験の実施」について、「法令遵守を促進するロボットの研究開発」と「ロボットを用いた法令遵守の促進」を実証実験を踏まえて研究。これまでの、ロボットを利用する際に、法令遵守その他の社会のルールを守るための研究という観点ではなく、人間(自然人)がそれらを守るためにロボットを利用するという発想の転換に基づく研究。人間中心や人間を主体としたロボットの利用ではなく、ロボットを主体とするロボット利用の新たな視点からの研究を実施した。
「2 「法律を守り、守らせる対話知能ロボット」の提案」について、法律を守ってロボットを運用するという従来からの当たり前の発想ではなく、法律を守ってもらうためにロボットを主体的に利用する方法の実証。ロボットの側ではなく、人間側の倫理的・法的課題をロボット(対話知能)を活用することによって解決するための方法としての提案に向けた研究を実施した。
「3 法律を守らせるための対話ロボットの動作の検証」について、ロボットが重要事項や難しい説明内容をわかりやすく説明、ロボットの動作も踏まえて対象者との親和性を確保、単なる警報・警告通知機能ではない対象者との対話に基づく法令遵守促進機能、法定通知事項のわかりやすい通知方法の試行、法令違反をロボットにより抑止、対象者の傾聴度合いに応じた説明及びロボットの動作の調整等の検証を実施。新興技術研究開発・利用促進に係る法整備に向けた提言の検討の基礎となる制度の調査として、新興技術活用推進のための制度の検討、サイバーとフィジカルの双方が融合するCPS基本戦略の策定に向けた提言の検討にもつなげるため、EUが2021年4月21日にAI整合規則提案を公表しており、その意図の分析を踏まえ、日本における新興技術開発戦略の方向性の検討を目指した。

今後の研究の推進方策

法律を守り、守らせる対話知能ロボットの社会実装のための実証実験において、ロボットによる会話(対話)の内容として、(1) 法定通知事項及び(2) 実験に関する説明事項の通知についてその内容と明示・通知等の方法について検証する。
(1)法定通知事項については、ロボットによる通知を具体的に実施することが有効であると考えられる場面としては、各種法令に基づいて明示・通知・公表等が義務づけられている重要事項その他の説明、対象者から情報を取得する場合に法律で定められている義務としての通知、対象者がロボットを利用する際に安全利用ために通知すべき事項などがあげられる。これらをロボット自身が行うことで効果的な通知を行うことができるか実証実験において検証を行うことは有効である。
(2)実験に関する説明事項の通知については、実証実験に参加するにあたっても、そのための説明を行うことが必要であるが、その手続も含めてロボットによる実験参加にあたっての事前の説明事項(実験の目的、手続、制限等)を実施することは効果があると考えられる。具体的な効果としては、回りくどい実験内容の解説を回避しつつ、実験実施にあたって法定の告知や説明義務がある事項を確実に通知することができるとともに、実験実施にあたっての協力を求めるために説明する事項を説明を受けた側が十分理解していることを確認することも可能となる。

  • 研究成果

    (25件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] バーチャルYouTuberとして活動する者に対する名誉感情侵害を認めた事例2023

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 雑誌名

      新・判例解説Watch

      巻: 32 ページ: -

  • [雑誌論文] キャラクターの名誉権・同一性保持権:キャラディス・キャラ改変からのキャラクターの保護2023

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 雑誌名

      翻訳の文化/文化の翻訳

      巻: 18 ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Artificial intelligence and robotics on the frontlines of the pandemic response: the regulatory models for technology adoption and the development of resilient organisations in smart cities2023

    • 著者名/発表者名
      Lauri Cristiana、Shimpo Fumio、Sokolowski Maciej M.
    • 雑誌名

      Journal of Ambient Intelligence and Humanized Computing

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s12652-023-04556-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CGで描かれた人物の実在性および本人特定性?CG児童ポルノ訴訟とディープフェイク・バーチャルヒューマン技術?2022

    • 著者名/発表者名
      原田 伸一朗
    • 雑誌名

      情報ネットワーク・ローレビュー

      巻: 21 ページ: 14~27

    • DOI

      10.34374/inlaw.21.0_14

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 生命保険訴訟における医療診断とその評価についての一考察 : 保険法と医事法の交錯としての医療診断の扱い2022

    • 著者名/発表者名
      長島光一
    • 雑誌名

      生命保険論集

      巻: 221 ページ: 191-220

  • [雑誌論文] 判例情報を用いた法教育―判例の読み方と法教育への応用―2022

    • 著者名/発表者名
      長島光一
    • 雑誌名

      情報処理センター年報

      巻: 24 ページ: 105-127

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 法からみる自動化・自律化の進展と規制・制度整備のあり方2022

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 雑誌名

      運輸と経済

      巻: 2022年5月号 ページ: 36-40

  • [学会発表] 対話システムの発話行為と「表現の自由」:法的規制要因のカテゴライズ2022

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      2022年度人工知能学会全国大会(第36回)
  • [学会発表] バーチャルYouTuberに対する誹謗中傷:侵害帰属と同定可能性に関する法理論2022

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      2022年度春季情報通信学会大会
  • [学会発表] アバターに関する著作権と人格権2022

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      日本知財学会20周年記念 コンテンツ・マネジメント分科会連続研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] メタバースにおけるアバターの法的保護と規律のデザイン2022

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      日本知的財産協会著作権委員会講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] サイバネティック・アバターとバーチャルYouTuber2022

    • 著者名/発表者名
      原田伸一朗
    • 学会等名
      情報ネットワーク法学会第22回研究大会第6分科会「第8回ロボット法研究会」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「対話型ロボットの言動に対する法的責任ー医療現場での実用に向けてー」2022

    • 著者名/発表者名
      長島光一
    • 学会等名
      情報ネットワーク法学会
  • [学会発表] 「生命保険訴訟における医師の診断の評価のあり方ー医事法の観点からの分析ー」2022

    • 著者名/発表者名
      長島光一
    • 学会等名
      日本医事法学会
  • [学会発表] 「AI社会を生き抜く法~AIとの共生のために~」2022

    • 著者名/発表者名
      長島光一
    • 学会等名
      2022年度前期まちだ市民大学「くらしに活きる法律」
    • 招待講演
  • [学会発表] ロボットは謝るべきか?2022

    • 著者名/発表者名
      呉羽真
    • 学会等名
      応用哲学会第14回年次研究大会, ワークショップ「対話ロボットから考える責任と謝罪」
  • [学会発表] ロボットと社会2022

    • 著者名/発表者名
      呉羽真
    • 学会等名
      第162回関西公共政策研究会
  • [学会発表] 日本人とロボット――テクノアニミズム論の疑わしさと危うさ2022

    • 著者名/発表者名
      呉羽真
    • 学会等名
      シンポジウム「テクノアニミズム再考」
  • [学会発表] サイバネティック・アバターの研究開発と社会実装に向けた課題2022

    • 著者名/発表者名
      新保史生、栗原佑介、小塚荘一郎、齊藤邦史、曽我部真裕、原田伸一朗、湯淺 墾道
    • 学会等名
      情報ネットワーク法学会第22回研究大会 第6分科会
  • [学会発表] The Japanese Characteristics of Corporate AI Ethical Principles2022

    • 著者名/発表者名
      Fumio Shimpo, Kimie Hatakeyama, Hideyuki Matsumi
    • 学会等名
      We Robot 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 法律を守り、守らせるロボットの社会実装に向けた研究をするには?2022

    • 著者名/発表者名
      新保 史生
    • 学会等名
      新学術領域「対話知能学」2022年度公開シンポジウム
  • [学会発表] ELSI of the Avatar Symbiotic Society2022

    • 著者名/発表者名
      Minao KUKITA,Takayuki KANDA,Fumio SHIMPO,Takayuki KATO,Hiroshi ISHIGURO
    • 学会等名
      Robophilosophy 2022 - Social Robots in Social Institutions
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒューマノイドロボットがもたらす精神科医療の未来2022

    • 著者名/発表者名
      新保史生、村松太郎、松本吉央、熊崎博一、河原達也、吉川雄一郎、加藤隆弘、宮尾益知、高橋英彦
    • 学会等名
      第118回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 個人情報保護法の改正と大学関係者にとっての課題2022

    • 著者名/発表者名
      新保史生、鈴木正朝、曽我部真裕、小向太郎、髙野一彦
    • 学会等名
      堀部政男情報法研究会
  • [備考] 対話知能学「人間機械共生社会を目指した対話知能システム学」

    • URL

      https://advance.sfc.keio.ac.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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